東京地判平成29年(ワ)29228【流体供給装置】
<損害論>102条2項の推定覆滅~4割
ガソリンスタンドの設定器をめぐる市場の事情に、「被告と旧EMG系列ガソリンスタントとの営業上の関係等が強いものであったこと」
⇒被告設定器と同数を、原告が販売できたとは認められない。
<推定覆滅事情>
ガソリンスタンドの設定器をめぐる市場の事情に、被告と旧EMG系列ガソリンスタントとの営業上の関係等が強いものであったことに照らせば,被告が販売した被告設定器と同数について原告が設定器を販売することができたとは認められない。40パーセントの割合で覆滅。
(判旨抜粋)
特許法102条2項の推定は,侵害者が得た利益と特許権者が受けた損害との相当因果関係を阻害する事情が認められる場合に覆滅すると解される。
上記のようなガソリンスタンドの設定器をめぐる市場の事情に被告と旧EMG系列ガソリンスタントとの営業上の関係等が強いものであったことがうかがえることなどに照らせば,被告が販売した被告設定器と同数について原告が設定器を販売することができたとは認められず,侵害者が得た利益と特許権者が受けた損害との相当因果関係を阻害する事情があると認められる。そして,上記に述べたところによれば,被告が販売した被告設定器の台数のうち,少なくとも40パーセントの台数20 販売台数の合計●(省略)●×0.4=●(省略)●)について原告が同様の設定器を販売することができなかったと認められる。そうすると,それによって,被告が被告設定器を販売したことに基づく特許法102条2項に基づく損害については,40パーセントの割合で覆滅すると認められる。
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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