東京地判平成15年(ワ)9215【止め具及び紐止め装置】<三村>

 

*分割と補正は、同じ範囲!!

 

特許第3367651号

 

分割出願をすることができる範囲についても,もとの出願について補正をすることが可能である範囲に限られる…(…分割手続により補正の要件を潜脱することを許すことになり,不合理…)

 

 

(判旨抜粋)

特許出願の分割については,特許法44条1項に,「特許出願人は,願書に添付した明細書又は図面について補正をすることができる期間内に限り,2以上の発明を包含する特許出願の一部を1又は2以上の新たな特許出願とすることができる。」と規定されているが,この分割出願が適法と認められるためには,もとの出願が特許庁に係属し,かつ,もとの出願が2以上の発明を含むものでなければならず,2つ以上の発明を含むということは,単に特許請求の範囲に含まれている場合だけではなく,明細書に2以上の発明が含まれていればよいと解されていること,また,分割出願は,補正をなし得る期間内に出願されることが必要であること(特許法44条1項),さらに,分割出願はもとの特許出願の時にしたものとみなされ(同条2項),新規性・進歩性の判断等については分割出願の基になった特許出願時を基準とすることになることなどにかんがみると,出願の分割は補正(特許法17条)と類似した機能を持つものであるといえるから,分割出願をすることができる範囲についても,もとの出願について補正をすることが可能である範囲に限られるものと解すべきであって(補正の要件を欠く場合にも出願の分割をなし得るとすれば,実質的には分割手続により補正の要件を潜脱することを許すことになり,不合理である。),分割出願の明細書又は図面に,原出願の出願当初の明細書又は図面に記載した事項の範囲外のものを含まないように解する…。

 

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/373/010373_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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