令和2年(行ケ)10092【マイクロニードルパッチ…】<鶴岡>

 

*本件発明の要旨を、明細書の記載等から限定的に解釈した。

⇒相違点あり

⇒進歩性〇

 

引用技術2の「油性ゲル状粘着製剤」は,本願発明の「オイルゲル」とは技術的意義を異にするから,引用発明に…適用しても,相違点に係る本願発明の構成には至らない

 

 

(判旨抜粋)

本願発明の技術的思想(課題解決原理)は,マイクロニードルパッチの粘着層としてアクリル系粘着剤等を用いた場合には,ⅰ)粘着層の部分からは美容効果を得ることができず,また,ⅱ)乳液等が塗られた皮膚に貼ると簡単に剥がれてしまうという二つの技術的課題が生じていたため,粘着層として,ⅰ)皮膚内に浸透して美容効果を与えることができる油溶性成分を含有し,ⅱ)乳液等に含まれる油脂となじみやすい油分を主成分として含むオイルゲルシートを用いることによって,上記の二つの技術的課題の解決を図ったものと認められる。また,…本願発明にいう「オイルゲル」は,甲12に記載された「粘着剤」を含有しなくとも,それ自体で皮膚に対する粘着性が良いものとされている。これらの記載を総合的に参酌すると,本願発明において,「オイルゲルシート」は「アクリル系粘着剤等の粘着性ではなく,ゲル化したオイルの粘着性によって,皮膚に対して粘着するシート」を意味すると解釈するべきである。…

これに対し,引用技術2の「油性ゲル状粘着製剤」は,…アクリル系粘着剤の粘着性によって,皮膚に対して粘着するものである。このように,引用技術2の「油性ゲル状粘着製剤」は,本願発明の「オイルゲル」とは技術的意義を異にするから,引用発明に引用技術2を適用しても,相違点に係る本願発明の構成には至らない。

 

https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/388/090388_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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