平成30年(ネ)10034【ソレノイド】<菅野>
<共有特許の損害論>
*特許法102条2項による損害算定
~共有者が3項で受ける実施料相当額を控除する。
*特許法102条1項による損害算定
~同条2項による損害の推定における場合と異なり、共有者が3項で受ける実施料相当額を控除することもできない。
(判旨抜粋)
特許法102条1項により算定される損害については、侵害者による侵害組成物の譲渡数量に特許権者等がその侵害行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益額を乗じて算出される額には、特許権の非実施の共有者に係る侵害者による侵害組成物の譲渡数量に応じた実施料相当額の損害が含まれるものではなく、その全部又は一部に相当する数量を特許権者等が販売することができないとする事情にも当たらないから、後記の同条2項による損害の推定における場合と異なり、非実施の共有者の実施料相当額を控除することもできない。
…実施料に相当する損害は、特許権の実施の有無にかかわらず請求することができるから、特許権を共有するがその特許を実施していない共有者であっても、その特許が侵害された場合には、特許法102条3項により推定される実施料相当額の損害賠償を受けられる余地があるところ、仮に、同条2項により推定される全額を共有に係る特許権を実施する共有者の損害額であると推定されると、侵害者は実際に得た利益以上に損害賠償の責めを負うことになることからすると、共有に係る特許権を実施する共有者が同条2項に基づいて侵害者が得た利益を損害として請求するときは、同条3項に基づいて推定される共有に係る特許権を実施していない共有者の損害額は控除されるべきである。
https://www.ip.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail?id=5740
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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