平成14年(行ケ)58「ミシン」(山下)

本願発明とは引用例の課題が異なることは相違点でないが、進歩性に影響し得る!!

「両者に共通する構成の設置目的が異なることに起因して,相違点に係る構成に想到することが容易でない,と判断されることはあり得るが…設置目的の相違が…相違点となるものではない」

15年前は進歩性判断が厳しくて、本願発明と引用発明の課題が異なっても、主副引用発明の課題が同じであれば組み合わせられるという判決が多かったといわれるが…、ミシン判決のように、一般論としては、「相違点に係る構成に想到することが容易でない,と判断されることはあり得る」と判示されていた!!

(判旨抜粋)
本願発明と引例発明1との一致点及び相違点の認定は,本願発明の構成を引例発明1が備えるか否かに着目してなされるべきものであり,構成の設置目的に着目してなされるべきものではない。例えば,本願発明と引例発明1とがすべての構成において一致しているならば,一部の構成の設置目的が相違していたとしても,両者は同一発明であるとみるべきである。発明相互の間に構成上の相違点がある場合において,両者に共通する構成の設置目的が異なることに起因して,相違点に係る構成に想到することが容易でない,と判断されることはあり得るが,その場合であっても,設置目的の相違が両発明の相違点となるものではない。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/278/011278_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)