大阪地判平成30年(ワ)5189【養殖魚介類への栄養補給体及びその製造方法】<谷>
*共有者による実施で、特許権が消尽した。
⇒製造方法も消尽!!
=控訴審R1(ネ)10065
「共有特許発明の実施品として被告製品を製造し,これを被告会社に販売した場合には,共有特許権は…消尽」
※インクタンク知財高裁大合議判決(最高裁ではない)は、製造方法の特許について、概略として間接侵害が成立する場面では消尽するという傍論を述べたが、「(…特許権の「消尽」といい,あるいは「黙示の許諾」というかどうかは,単に表現の問題にすぎない 。)」というくだりは批判もある。
⇒これに対し、大阪地判平成30年(ワ)5189は、「消尽」すると言い切った点に着目される。
https://www.ip.courts.go.jp/vc-files/ip/file/10021.pdf
(判旨抜粋)
共有特許権の共有者である被告P2…は,原告の同意を得ることなく,共有特許発明を実施することができるから,被告P2が,仮に共有特許発明の実施品として被告製品を製造し,これを被告会社に販売した場合には,共有特許権はその目的を達成したものとして消尽し,共有特許権の共有者である原告は,被告会社が被告製品を譲渡等することに対し,特許権を行使することはできないものと解される。なお,被告会社は解散会社から購入した被告製品を第三者に販売したこともあったが,これは共有特許権の特許権者である原告及び被告P2から実施の許諾を受けて製造され,被告会社に販売されたものであるから,同じくその被告製品についても共有特許権は消尽したと解される。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/930/088930_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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