令和4年(行ケ)10012【接触操作型入力装置】<菅野>

*周知技術も組合せの動機付け等が必要
⇒主引例と周知技術の其々の技術分野を上位概念化した上で組み合わせたことを咎めた。

※特許権者が、同特許で原告Apple相手に侵害訴訟で勝訴(3億円)した過去がある。H19年(ワ)2525

(判旨抜粋)
…取消事由1-1(甲1発明を主引用例とする本件特許発明1の進歩性の判断の誤り)…
周知技術1を、タッチパネルによる選択をプッシュスイッチで確定して何らかの入力情報を生成する技術であると上位概念化して理解したとしても、甲1発明は、プッシュスイッチに割り当てるべき機能(選択を確定する機能)をそもそも有さないし、甲1文献には、タッチパネルにより磁気テープの走行方向や走行速度を連続制御することは記載されているが、タッチパネルにより選択された走行方向や走行速度を確定する操作や、当該操作に対応するボタン等の構成は記載も示唆もないから、 甲1発明に、周知技術1を適用する動機付けがない。…
…取消事由2-1(甲2発明を主引用例とする本件特許発明1の進歩性の判断の誤り)…
甲2発明は、従前技術のジョグダイヤルでは部品点数が増加し、また、厚みを薄くするには限度があり、操作パネル部の薄型化を図る上で妨げとなっていたため、簡単な構成で操作パネル部の薄型化及び操作性の向上を図ることができるジョグダイヤル状スイッチを提供することを目的とするものであるから…、これに周知技術1のプッシュボタンを適用することは、部品点数の増加を招き、薄型化の要請にも反するものであり、阻害要因がある。…
…取消事由3-1(甲3発明を主引用例とする本件特許発明1の進歩性の判断の誤り)…
1つのキーにより既に実現されている複合機能を、あえて複数の部品に分けて構成することは、「スイッチの薄型 化及び低コスト化」という甲3発明の課題や効果…にも反することになる。

https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/805/091805_hanrei.pdf

 

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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