令和1年(行ケ)10108【通信ネットワークシステムにおけるコントロールチャネル】<菅野>

①実施例を抽象化してクレームアップできた一事例
図4の具体的開示を抽象化した。
本件発明の課題と訂正事項との関係は、着目されていない。
⇒新規事項追加ではない。

②クレーム文言を追加した訂正が、実質的変更と判断された。

(判旨抜粋)
①…明細書の上記記載に加えて,図4を総合すると,スケジュールに使用可能なコントロールチャネル候補の制限をツリー構造によって課される割合は,図4の実施例では,最高レベルの集合レベル1では,24個のコントロールチャネルを4つの候補に(候補の割合6分の1),比較的低いレベルの集合レベル2では12個のコントロールチャネルを4つの候補に(候補の割合3分の1),集合レベル4では6個のコントロールチャネルを4つの候補に(候補の割合3分の2)それぞれ制限し,集合レベル8の3個のコントロールチャネルを制限しない(候補の割合1分の1)ことが開示されているに等しい事項といえる。

②…訂正後の請求項1は,訂正前の請求項にはない,「ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補」という概念を追加した上で,「前記最高レベルよりも低い各レベルにおける,ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合を,前記最高レベルにおける,ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合よりも大きくして,ユーザイクイップメントに対するアロケーションを実行する」,「ツリー構造における,より低いレベルほど,ユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合がより大きくされる」との事項を追加し,これによって,訂正前の方法では,ツリー構造で表される比較的低い各レベルのアロケーションについては特に規定するところがなかった,ツリー構造で示されるより低いレベルほどユーザイクイップメントに対するアロケーションに使用可能なコントロールチャネル候補の割合を大きくすることが発明特定事項に含まれることになった…。そうすると,訂正事項1ないし3は,特許請求の範囲を実質上変更するものであるから,特許法126条5項に適合するものとはいえない。

090287_hanrei.pdf (courts.go.jp)

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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