【特許】公然実施発明を主引例とする新規性、進歩性欠如の無効主張

 

 

公然実施<論点整理>

 

①★進歩性判断時の,公知文献との違い(大鷹判事の論文)

 

② 「公然」性 ~ NDA、リバースエンジニアリング

 

③ 公然実施「発明」~反復可能性、意図・認識の要否、用途発明

 

④ 出願日後の実施品に基づく主張

⇒<関連>出願当時の「技術水準」の立証

 

 

 

公然実施①

★進歩性判断時の、公知文献との違い

(大鷹判事の論文)

 

引用発明が公然実施発明の場合には…ベストモードの完成品として提供されているものであるため、通常は、実施品自体やその取扱説明書等にその課題等の記載がなく、他の資料から、動機付けの手掛かりとなる要素を認定する必要がある。

 

 

 

公然実施②

「公然」性 ~ 秘密保持契約(NDA)

 

平成23年(行ケ)10271「光源装置」<塩月>

⇒(明示の)秘密保持契約の対象であると認定

 

平成21年(行ケ)10284「…プラバスタチンナトリウム」

⇒黙示の守秘義務あり

 

東京地判平成24年(ワ)11800「ポリイミドフィルム」<高野>

⇒黙示の守秘義務なし

 

 

公然実施②

「公然」性 ~ リバースエンジニアリング

 

東地平成15年(ワ)19324「ブラニュート顆粒」

 

当業者が利用可能な分析技術を用いて…特許発明該当性の判断が極めて困難であった。

⇒「公然」実施でない

 

=大地平成20年(ワ)4754「X線異物検査装置」

 

≒東地平成16年(ワ)4339「低周波治療器」

 

 

公然実施③

公然実施「発明」の完成

 

東京地判平成24年(ワ)11800「ポリイミドフィルム」<高野>

 

公然実施「発明」の完成には、反復可能性が必要

 

「被告は,…先行発明の技術的範囲に属する28本の先行製品を製造したのであって,先行発明には反復可能性がある」

⇒公然実施「発明」完成

⇒進歩性×

 

 

公然実施③

公然実施「発明」 の完成~ 意図・認識の要否

 

東京地判平成29年(ワ)17791「マグネット歯車」<佐藤>

東京地判平成23年(ワ)21311「印刷物の品質管理装置(オフセット輪転機版胴)」<大須賀>

⇒意図・認識は、問われなかった

 

Cf.先使用権の裁判例

平成29年(ネ)10090「医薬」<高部>/傍論

 

 

公然実施③

公然実施「発明」 の完成~用途発明

 

平成18年(行ケ)10452「樹脂配合用酸素吸収剤」事件<飯村、大鷹、嶋末>

 

*公然実施を理由に、用途発明の新規性を否定するためには、実施品が当該用途に適すると当業者に認識されていた必要がある。

 

⇒本事案では、進歩性を否定した審決も取り消された。

 

 

 

公然実施③

公然実施「発明」 の完成~ 意図・認識の要否

 

東京地判平成29年(ワ)17791「マグネット歯車」<佐藤>

東京地判平成23年(ワ)21311「印刷物の品質管理装置(オフセット輪転機版胴)」<大須賀>

⇒意図・認識は、問われなかった

 

Cf.先使用権の裁判例

平成29年(ネ)10090「医薬」<高部>/傍論

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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