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【商標法★】女性用ハイヒール靴の靴底部分に付した赤色(PANTONE 18-1663TP)の色彩のみからなる商標について、商標法3条2項に必要な高度の自他商品識別力を獲得したものとはいえないと判断された事例

2023年07月10日

知財高判令和5年1月31日(令和4年(行ケ)第10089号)(菅野裁判長)

 
◆判決本文

 
【判決要旨】

1.単一の色彩のみからなる商標の商標法3条2項の該当性について

商標法3条2項の趣旨が、商品又は役務の特性を取引に際し必要適切に表示するものとして、独占使用が公益上不適当な、同法3条1項3号該当商標であっても、特定人により長年業務に使用された結果、出所表示機能を持つに至ったことにより、公益上不適当とされていた独占使用を例外的に特定人に認めるところにあることに照らせば、かかる公益性の要請が特に強い単一の色彩のみからなる商標が同法3条2項に該当するためには、かかる公益性の例外として認められる程度の高度の自他商品識別力を獲得していること(独占適応性)を要するものと解すべきである。

 

2. 本願商標の商標法3条2項該当性について

本願商標の下記構成態様は特異なものではないこと、中敷きに付された原告のロゴにより原告の女性用ハイヒール靴の出所が認識され得ること、原告以外の複数の事業者が本願商標の色彩と同系色である赤色を靴底に使用した女性用ハイヒール靴を販売していたこと、アンケートの調査結果から推認される需要者における本願商標の認知度は限定的であること等を総合考慮すると、本願商標は、上記公益性の例外として認められる程度の高度の自他商品識別力を獲得している(独占適応性がある)と認めることができない。

 
【コメント】

1.単一の色彩のみからなる商標の商標法3条2項の該当性について

判決要旨1は、特に単一の色彩のみからなる商標について、従前の裁判例(知財高判令和2年6月23日(令和元年(行ケ)第10147号)〔油圧ショベル単一色彩商標事件〕、知財高判令和2年8月19日(令和元年(行ケ)第10146号)〔油圧ショベル構成部分単一色彩商標事件〕、知財高判令和5年1月24日(令和4年(行ケ)第10062号)〔鉛筆単一色彩商標事件〕等)に沿って、他の事業者に対して色彩の自由な選択・使用を不当に制限することを避けるという公益上の要請(独占適応性)を重視し、商標法3条2項に該当するために、高度の自他商品識別力の獲得を要求したものである。

 

2.本願商標の商標法3条2項該当性について

判決要旨2は、判決要旨1を前提に、女性用ハイヒール靴の靴底部分に付した赤色(PANTONE 18-1663TP)の色彩のみからなる商標について、使用による高度の自他商品識別力の獲得を否定し、商標法3条2項による登録を否定したものである。この点、色彩のみからなる商標の登録例は、例えば下記が挙げられるものの、いずれも複数の色彩の組合せによるものである一方、(輪郭のない)単一の色彩のみからなる商標は、裁判例上、判決要旨2と同様に、下記のように、商標法3条2項による登録が否定されており、そのハードルは、かなり高いものと考えられる。

商標権者

商標登録番号

登録商標

株式会社トンボ鉛筆

第5930334号


株式会社セブン-イレブン・ジャパン

第5933289号


株式会社三井住友フィナンシャルグループ

第6021307号


第6021308号


三菱鉛筆株式会社

第6078470号


第6078471号


株式会社ファミリーマート

第6085064号


ユーシーシー上島珈琲株式会社

第6201646号


日清食品ホールディングス株式会社

第6534071号

 

出願人

本願商標

登録否定裁判例

株式会社LIFULL


橙色(RGBの組み合わせ:R237,G97,B3)のみからなるもの

知財高判令和2年3月11日(令和元年(行ケ)第10119号)(大鷹裁判長)


日立建機株式会社


オレンジ色(マンセル値:0.5YR5.6/11.2)のみからなるもの

知財高判令和2年6月23日(令和元年(行ケ)第10147号)(髙部裁判長)


日立建機株式会社


油圧ショベルのブーム,アーム,バケット,シリンダチューブ,建屋カバー及びカウンタウェイトの部分をオレンジ色(マンセル値:0.5YR5.6/11.2)とするもの

知財高判令和2年8月19日(令和元年(行ケ)第10146号)(大鷹裁判長)

三菱鉛筆株式会社


「DICカラーガイドPART2(第4版)2251」のみからなるもの

知財高判令和5年1月24日(令和4年(行ケ)第10062号)(本多裁判長)


 

 
【判決の抜粋】

1.単一の色彩のみからなる商標の商標法3条2項の該当性について

「(商標法3条1項3)号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされる趣旨は、このような商標は、商品の産地、販売地、品質その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないことによるものと解される(最高裁昭和53年(行ツ)第129号同54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事126号507頁参照)。

そして、商品の色彩は、商品の特性であるといえるから、同号所定の『その商品の・・・その他の特徴』に該当するものと解される。そして、商品の色彩は、古来存在し、通常は商品のイメージや美観を高めるために適宜選択されるものであり、また、商品の色彩には自然発生的なものや商品の機能を確保するために必要とされるものもあることからすると、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、原則として何人も自由に選択して使用できるものとすべきであり、特に、単一の色彩のみからなる商標については、同号の上記趣旨が強く妥当するものと解される。」

「商標法3条2項の趣旨は、同条1項3号に該当する商標であっても、特定の者が長年その業務に係る商品又は役務について使用した結果、その商標がその商品又は役務と密接に結びついて出所表示機能を持つに至り、公益上の見地から不適当とされていた特定人による当該商標の独占的使用を例外的に認めるということにある。

こうした商標法3条2項の趣旨に照らせば、自由選択の必要性等に基づく公益性の要請が特に強いと認められる、単一の色彩のみからなる商標が同条同項の『使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの』に当たるというためには、当該商標が使用をされた結果、特定人による当該商標の独占使用を認めることが公益性の例外として認められる程度の高度の自他商品識別力等を獲得していること(独占適応性)を要するものと解するべきである。」

 

2.本願商標の商標法3条2項該当性について

「本願商標が使用された原告の女性用ハイヒール靴の販売実績、宣伝広告、受賞歴等によれば、ラグジュアリーブランドに関心のある女性を中心にした一定の需要者には、本願商標が使用された女性用ハイヒール靴は原告ブランドを指すものと認識されていることは認められる。しかし、本願商標の構成態様は特異なものとはいえないこと、原告が取り扱う女性用ハイヒール靴の中敷きに『Christian Louboutin』(一部文字を図案化してなるもの)のロゴが付されており、これらの文字の表示から、原告の女性用ハイヒール靴の出所が認識され、又は認識され得ることは否定できないこと、原告以外の複数の事業者が本願商標の色彩と同系色である赤色を靴底に使用した女性用ハイヒール靴を販売していたこと等の諸事情に加え、本件アンケートの調査結果から推認される需要者における本件商標の認知度は限定的であることを総合考慮すると、本願商標は、前記2で示したような、公益性の例外として認められる程度の高度の自他商品識別力を獲得している(独占適応性がある)と認めることができないものであることは明らかである。」

「以上によれば、本願商標は、前記2で示したような、公益性の例外として認められる程度の高度の自他商品識別力を獲得している(独占適応性がある)と認めることができないものであるから、商標法3条2項が定める『使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品』であることを認識することができるものに該当するものとはいえない。」

 
【Keywords】商標法3条2項、使用による自他商品識別力の獲得、新しい商標、色彩商標、単一の色彩のみからなる商標、色彩の自由な選択・使用、公益、独占適応性、Christian Louboutin

 
※本稿の内容は、一般的な情報を提供するものであり、法律上の助言を含みません。

 
文責:弁護士・弁理士 飯田 圭(第二東京弁護士会)

 
本件に関するお問い合わせ先:k_iida☆nakapat.gr.jp (☆を@に読み替えてください)

 
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