平成30年(行ケ)10175<高部>〔アクセスポート事件〕
*複数の引用文献から主引用発明を 認定することは”原則”×
主引用例で引用されている論文(東レポート)の「添付文書」を合わせて一つの主引用発明を認定した審決が否定された。
⇒ もっとも、続いて容易想到と判断 した。
~結局は、進歩性× (無効審決維持)
(判旨抜粋)
…「刊行物に記載された発明」(特許法29条1項3号)の認定に当たり,特定の刊行物の記載事項とこれとは別個独立の刊行物の記載事項を組み合わせて認定することは,新規性の判断に進歩性の判断を持ち込むことに等しく,新規性と進歩性とを分けて判断する構造を採用している特許法の趣旨に反し,原則として許されないというべきである。
よって,東レポートを用いた耐圧性能に関する実験結果を記載した論文である引用例1と,これと作成者も作成年月日も異なる,東レポートの仕様や使用条件を記載した添付文書である引用例2の記載から,甲9発明を認定することはできない。
そして,引用例1には,東レポートの具体的な構成についての記載はなく,東レポートの具体的な構成が本件出願の優先日時点において技術常識であったとまでは認められないから,甲9発明が,引用例1に実質的に開示されているということもできない。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/081/089081_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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