平成29年(行ケ)10063<鶴岡>〔ソルダペースト組成物事件〕
*令和元年最高裁判決 <平成30年(行ヒ)69>以前の判決
数値限定発明につき 顕著な効果を認めた審決を取り消した事例
(判旨抜粋)
【請求項1】無鉛系はんだ粉末,ロジン系樹脂,活性剤及び溶剤を含有するソルダペースト組成物において,分子量が少なくとも500であるヒンダードフェノール系化合物からなる酸化防止剤を含有するソルダペースト組成物。
…本件発明1においては,酸化防止剤の分子量が少なくとも500であるとの限定を有するが,以下のとおり,このような限定を付すことによって格別の効果が得られたことを裏付けるに足りる証拠はないから,本件発明1の効果は,甲1文献及び本件特許出願当時の技術常識から当業者にとって予測し得ない格別顕著なものであるとは認められない。…
以上より,本件発明1において分子量が少なくとも500であるヒンダードフェノール系化合物からなる酸化防止剤を用いたことによる効果は,甲1発明及び技術常識から当業者が予測し得ないほどの格別顕著なものということはできない。にもかかわらず,本件審決は,本件発明1につき,甲1発明からは当業者が予測し得ない効果を奏するものであり,本件発明1は,甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでないとした点で,その判断に誤りがある。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/487/087487_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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