大阪地判平成29年(ワ)第6906号(高松裁判長)
【商標】「BELLO」事件 ~ 自己の著名キャラクターと併用することにより、当該著名キャラクターに出所識別機能が認められ、被告標章には出所識別機能が認められないから、被告商標は商標法26条1項6号に定める商標に該当するとして、商標権侵害不成立とした事例
原告商標1は「BELLO」の文字、原告商標2は「BELLO」を筆記体表記したものであった。
登録日は、原告商標1が平成22年、原告商標2が平成20年であった。
被告(USJ)各標章も、「BELLO」の文字及びこれを若干ロゴ化したものであった。
被告が被告各商標の使用を開始したのは、平成26年11月頃であった。
本判決は、要するに、USJのオンラインストア以外のオンラインストア等で販売された被告各商品についても、需要者は被告(USJ)の著名キャラクターを識別して購入することから、当該著名キャラクターに出所識別機能が認められるのであって、原告商標の使用は商標的使用でないとして、商標法26条1項6号該当性を認め、商標権侵害不成立とした。
関連裁判例を紹介するとおり(リンク先のHP参照)、商標権者以外の著名表示(商標、キャラクター等)と登録商標とを併用した場合、当該著名表示にのみ出所識別機能が認められるとして、商標権侵害を否定した裁判例は多い。
この意味で、商標権は、出願・登録した後も、使用により信頼が蓄積することで、出所識別機能を果たす強い商標権になっていくものであるが、他方、登録商標がより著名な他人の表示と併用されると、商標的使用でないとして商標法26条1項6号により商標権侵害不成立となってしまうこともある。営業上の信用を化体する標識を保護する標識法である商標法は、出願後の商標権者及び他人の活動により権利の強弱が変わってくるという点において、人間の精神的創作活動の成果を保護する創作法である特許権、意匠権、著作権等とは異なる。
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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