効果のクレームアップ(権利者不利)❹
平成24年(行ケ)10398【制震架構】
*目的がクレームアップされていない以上、構成が同じであれば実質的な相違点でない
⇒クレームアップされていれば実質的な相違点であったことを示唆
(判旨抜粋)
…甲1発明のように,意匠その他の平面計画の都合で剛心と重心の偏心が生じる場合の架構も,剛心と重心が偏心するように設計されているものであることに変わりはなく,また,このような設計によっても,水平方向の加振に対し,ねじれ振動が発生するのであること,及び,本件発明1の特許請求の範囲には,「剛心と重心が偏心するように設計されており」について「制震目的で設計されており」との記載はないことからすれば,このような剛心と重心が偏心するような架構設計の理由が,専ら意匠その他の平面計画の都合によるものか,専ら制震のためであるか,あるいはその両方の目的であるかは,設計者の意図ないし動機であるにすぎず,このようにして設計された構造物が,客観的には,剛心と重心が偏心するように設計され,水平方向の加振に対しねじれ振動を発生する架構の構造物であることに変わりはない。したがって,本件発明1の構造物の架構と,甲1発明の構造物の架構は,客観的な設計構造としては実質的に同一である…。
https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/613/083613_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)