令和3年(ネ)10099【生体用水素ガス供給装置】<菅野>
イ号と本件発明との相違点が本質的部分(発生した水素ガスに着目し…により水素ガスを爆発限界外の一定濃度未満に維持する)でないが、動機付け無し
⇒均等論第3要件のみを否定
※第3要件は本質的部分と独立に要検討!!
(判旨抜粋)
本件訂正発明6における「被電解原水が導入される電解室」とは、電解室の内部と外部が別個の独立した状態となるべく、電解室の内部と外部とで水が連通しないように、隔膜によって、内部と外部とが完全 に区画されているものを指す…。…
本件訂正発明6は、発生した水素ガスに着目して、希釈用ガスを陰極又は陰極水面に送風することにより、水素ガスを爆発限界外の一定濃度未満に維持するものであり、これが本件訂正発明6の本質的部分というべきである。したがって…水素ガスの濃度に関わるものでないから、本質的部分を置換するものとはいえない。よって、被告製品1は、均等の第1要件を充足する。
…被告製品1は、陰極から約6cm前後上にある陰極水面にも空気を送風しており、水素ガス濃度が2.6vol%の、水素ガスと空気を含む混合ガスを生体に供給するものであるから、本件訂正発明6と同様の効果が奏されるものといえる。よって、被告製品1は、第2要件を充足する。…
控訴人主張の周知技術は、いずれも、本件訂正発明6における「前記電解室の内部と外部とを区画する一つ以上の隔膜」という構成を、被告製品1における「①内タンク6の側壁の一部、②流出孔3を有する内タンク6の底部、③4つの高分子膜10」との構成に置換する動機付けになるものとはいえない。これらの事実関係によれば、このような置換が容易であったとはいえないから、被告製品1は、均等の第3要件を充足しない。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/706/091706_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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