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【商標法★】「スイーツ/パーティー」の文字からなる被告保有の登録商標(本件商標)と原告保有の「スイートパーティー/SWEET PARTY」の文字からなる引用商標とは類似せず,本件商標の登録は商標法4条1項11号に違反してされたものではないと判断して,原告請求の無効審判における棄却審決を維持した事例

2022年09月28日

知財高判令和3年10月6日(令和3年(行ケ)第10036号)(東海林保裁判長)

 

<本件商標>

<引用商標>

◆判決本文

【判決要旨】

1.商標法4条1項11号の判断基準について

商標の類否は,対比される商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に,その商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであり,その商品又は役務に係る取引の実情を明らかにしつつ、商標の外観,観念,称呼等によって取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すべきである。

また,商標の外観,観念又は称呼のうち1つにおいて類似するものであっても,他の2点において著しく相違することその他取引の実情によって,商品又は役務の出所に誤認混同をきたすおそれの認めがたいものは,類似商標と解すべきではない。

2.本件商標による商標法4条1項11号の該当性について

(1)外観
 本件商標は「スイーツ」と「パーティー」を二段書きにしたものであり,引用商標は「スイートパーティー」と「SWEET PARTY」を二段書きにしたものであるから,一見して外観は異なる。

また、「スイーツ」と「スイート」は別の語として観念され,実際にも区別されて用いられていることからすると,本件商標と引用商標のカタカナ表記の部分である「スイートパーティー」とは,外観上明確に区別することが可能である。

(2)観念
 国語辞典の記載によれば,「スイーツ」の語は「甘いもの。ケーキ・菓子など。」を意味し,「スイート」の語は「①甘いこと,甘口。②甘美なこと。快いこと。気持ちよいさま。」を意味するとされていることから,これらの語は別の語として一般的に認識されており,また,インターネット上の検索結果に基づく実際の使用例においても双方の語は使い分けられている。また,「スイート」という語が,菓子業界においても,「甘いこと」以外に,「甘美な,愛しい,楽しい」の意味で用いられている例がある。そうすると,本件商標からは,スイーツ(甘いもの,ケーキ,菓子など)が提供され,それらを食べるパーティーという観念を生じるものと認められる一方,引用商標からは,「甘美な,快い,愛しい,楽しいパーティー」という観念を生じるものと認められる。

(3)称呼
 本件商標と引用商標は,称呼上,類似するというべきである。しかし,相違する「ツ」と「ト」の音は比較的弱く発音されるものであり聴取され得るものであること,「スイーツ」と「スイート」は,それぞれの音が表す観念の違いを認識することによって別の語として聞き分けられるものと認められることを考慮すると,その類似性の程度は高くないというべきである。

(4)類否判断
 以上のとおり,本件商標と引用商標は,称呼において類似しているものの,その類似性の程度は高くないことを考慮し,外観,観念,称呼等によって取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察する場合には,同一又は類似の商品に使用された場合に,その商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれはないものと認められる。

 

【コメント】

1.判決要旨1は,最判昭和43年2月27日〔氷山印事件〕に基づき,商標の類否判断の基準を商品・役務の出所混同に求め,その判断にあたって,商品・役務に係る取引の実情に基づいて,商標の外観,観念,称呼等を総合的に考察すべきであること,また,特に,商標の外観,観念又は称呼のうち1点で類似しても,他の2点で著しく相違すること等により,商品又は役務の出所混同のおそれを認め難いものは,類似商標に当たらないことを判示したものである。

2.判決要旨2は,判決要旨1、特に第二段落を本件にあてはめ,本件商標と引用商標は,外観上明確に区別できるとともに,観念において明確な差異があることから,称呼が類似するとしても,その程度が高くないことを考慮し,商標の外観,観念,称呼等を総合的に考察する場合には,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれはないと判断したものである。

 

【判決の抜粋】

1.商標法4条1項11号の判断基準について

「商標の類否は,対比される商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に,その商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,それには,使用された商標がその外観,観念,称呼等によって取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すべく,しかも,その商品又は役務に係る取引の実情を明らかにし得る限り,その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当である。また,商標の外観,観念又は称呼の類似は,その商標を使用した商品又は役務につき出所の誤認混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎず,したがって,右3点のうちその1つにおいて類似するものであっても,他の2点において著しく相違することその他取引の実情によって,なんら商品又は役務の出所に誤認混同をきたすおそれの認めがたいものについては,これを類似商標と解すべきではない(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁)。」

2.本件商標による商標法4条1項11号の該当性について

まず、外観においては、「本件商標は,『スイーツ』と『パーティー』を二段書きにしたものであり,しかも名詞と名詞が結合した商標であるから,上段の『スイーツ』を分離して観察することが可能である一方,引用商標は『スイートパーティー』と切れ目なく横書きされており,しかも,『スイート』の部分は形容詞であって必然的に名詞の『パーティ』を修飾する関係にあるから,引用商標の『スイートパーティー』の部分は,外観上も不可分一体のものとして強く結びついている点でも異なる。……通常の注意力を有する取引者・需要者からみれば,本件商標と引用商標のカタカナ表記の部分である『スイートパーティー』とは,外観上明確に区別することが可能であるから,本件商標と引用商標とは,外観上非類似と認めるのが相当である。」

つぎに、観念においては,「実際の使用例において,『スイーツ』という語と『スイート』という語は,それらが他の語と結びつく場合も含めて区別して使用されており,『スイーツ」という語は,『甘いもの,ケーキ・菓子など』の意味で使用され,他方,『スイート』という語は,『甘い,甘口』の他,『甘美な,快い,愛しい,楽しい』という意味で用いられているものと認められる。そして,『スイーツパーティー』という語は,スイーツ(甘いもの,ケーキ,菓子など)が提供され,それらを食べるパーティーの意味で用いられている。」「そうすると,本件商標は,『スイーツ』と『パーティー』を二段書きにしたものであるから,『スイーツ』(甘いもの,ケーキ・菓子など)という名詞が強調された上で,その全体から,『スイーツパーティー』という語として認識され,スイーツ(甘いもの,ケーキ,菓子など)が提供され,それらを食べるパーティーという観念を生じるものと認められる。他方,引用商標は,『スイートパーティー』又は『SWEET PARTY』という語として認識され形容詞である『スイート』『SWEET』が必然的に名詞の『パーティー』を修飾する関係にあるから『スイート』なパーティーを意味し,『スイート』という語の意味のうち,パーティーを修飾する場合に当てはまる意味は,「甘美な,快い,愛しい,楽しい』という意味であるから,『甘美な,快い,愛しい,楽しいパーティー』という観念を生じるものと認められる。」

さらに、称呼においては、「本件商標と引用商標は,ともに9音(長音も促音(ッ)も1音として)からなる同音数であり,中間音の『ツ』と『ト』が相違するのみであり,『ツ』と『ト』はいずれもタ行の同行音で,比較的近い音であることを考慮すると,本件商標と引用商標は,称呼上,類似するというべきである。ただし,上記の差異である『ツ』と『ト』のそれぞれの前音は長音であって,比較的弱く発音される音であるから,当該差異音は,各々前音に紛れることなく比較的はっきりと発音され,聴取され得るものであること,(中略)『スイーツ』という語と『スイート』という語は別の語として観念され,実際にも区別されて用いられていることからすると,『スイーツ』と『スイート』は1音違いではあるものの,それぞれの音が表す観念の違いを認識することによって別の語として聞き分けられるものと認められることを考慮すると,その類似性の程度は高くないというべきである。」

「以上のとおり,本件商標と引用商標は,外観上明確に区別できるものであること,本件商標と引用商標は観念において明確な差異があること,本件商標と引用商標とは称呼において類似しているものの,その類似性の程度は高くないことを考慮すると,本件商標と引用商標は,外観,観念,称呼等によって取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察する場合には,同一又は類似の商品に使用された場合に,その商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれはないものと認められる。

したがって,本件商標を引用商標の類似商標と解することはできないというべきである。」

 

【Keywords】商標法4条1項11号,商標の類否,スイーツパーティ,スイートパーティー,SWEET PARTY

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません

 

文責:弁理士 篠森 恵

監修:弁護士・弁理士 飯田 圭(第二東京弁護士会)

本件に関するお問い合わせ先:tm☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)

 
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