知財高判令和2年(行ケ)10080<鶴岡> 〔船舶事件〕
*本件発明の要旨認定 「浸水防止部屋」~専ら/主に浸水防止を 企図した空間である必要は無い。
⇒進歩性×
※近時、発明の詳細な説明を読み込んで、 要旨認定を限定解釈
⇒進歩性〇という 審決・判決が散見されるが、本判決は逆!!
(判旨抜粋)
…特許請求の範囲の記載によれば,本件訂正発明1の「浸水防止部屋」は,側壁及び隔壁に接すること,仕切板により形成されること,機関区域に設けられること,側壁と隔壁との連結部を覆った空間であり側壁が損傷した場合浸水することなどが特定されているものの,「専ら」あるいは「主に」浸水防止を企図した空間であるべきかは明らかでない。…したがって,「空間」であることから,直ちに「専ら」あるいは「主に」 浸水防止を企図していることは導けない。…「浸水防止部屋」とは,それに面する側壁が損傷し浸水しても,それが設けられた「部屋」に浸水しないような水密の構造となっている部屋を意味すると解するのが相当である。…本件審決は,船尾トリミングタンクが,専ら「浸水防止」を企図した「空間」であるとはいえず,「浸水防止部屋」に相当しないと判断したが,かかる浸水防止部屋の解釈が誤りである…。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/589/089589_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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