<審判実務者研究会報告書2024>テーマ3(化学2)
【出願後に提出された実験結果等の参酌(進歩性)】
進歩性の判断における、出願後に提出された実験結果等(事後的データ)の参酌については、審査官は、意見書等で主張、立証がなされた効果が明細書に記載されておらず、かつ、明細書又は図面の記載から当業者が推論できない場合は、その効果を参酌すべきでない。」と記載されるとおり、明細書又は図面の記載から当業者が推論できる限りにおいて許容されることで、そのプラクティスは一定程度定着している。
欧州でも近時、欧州特許EP2484209(害虫を防除するための殺虫剤組成物)を対象とした審判事件において、技術審判部から付託された質問を受けた拡大審判部により、審決G2/21が公表され、進歩性を検討する際、出願日後に提出された証拠に関して、①後出しされたという理由のみで無視することはできないこと、②技術常識を念頭において、当初の出願に基づき、当業者が技術的教示に包含され、同一の当初開示された発明によって具体化されるものとして当該効果を導き出せる場合、進歩性に関する技術的効果に依拠することができる、という判断が示された。
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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