令和7年(行ケ)10037【木質複合材】<清水響>
進歩性×
原告は、密度・小薄片の寸法・配向(向き)の3つの要素が一体となって相乗効果を奏するため、これらを一つの相違点として判断すべきと主張したが、本判決は、明細書や実験データからは各要素が個別に効果(強度の向上、表面性の向上など)を奏することは読み取れるものの、組み合わせによる特段の相乗効果までは認められないとして、個別に判断した特許庁の手法を是認した。
(1) 相違点1:密度(400~550kg/m3)について
甲1発明には密度の特定がないが、先行技術(乙2~4)において、木質ボードの密度として0.40~0.65g/cm3(400~650kg/m3)が好適であることは周知であった。
⇒用途(床材の基材)に応じて密度の数値範囲を最適化・好適化することは当業者が容易になし得る。
(2) 相違点2:木質小薄片の寸法(厚さ0.2-0.5mm等)について
本件発明は薄片のサイズを細かく規定しているが、先行技術(甲4、甲5など)には類似した寸法の開示があった。
⇒薄片を小さくすると均質・平滑になるが強度は下がるという技術常識(トレードオフ)が存在し、その中で数値を最適化することは当業者の創作能力の範囲内であるとしました。「節がない」点も、細片化すれば当然の結果である。
(3) 相違点3:繊維方向のランダム配向について
本件発明は薄片がランダムに向いている。
⇒OSBにおいて配向性を持たせるかランダムにするかは周知の選択肢であり、ランダムにすることで方向による強度のバラつき(異方性)をなくすことは技術常識であるため、用途に応じてランダム配向を選択することは容易である。
https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-93877.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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