令和7年(ネ)10029『特許を受ける権利の確認請求』<増田>
*文系の学部を卒業し、起業したが、臨床上の知見はない。
⇒発明者性×
(協力者である教授が発明者。)
<発明者性(職務発明)>
当該発明における技術的思想の創作行為、とりわけ従前の技術的課題の解決手段に係る発明の特徴的部分の完成に現実に関与することが必要である。
本件発明1-3の特徴的部分は、血管内の瘤の破裂を予防するため瘤を塞栓するプッシャワイヤとメッシュ部とを備えた血管プラグにおいて、サイズの異なる複数の血管プラグを用意しなければならず、また、メッシュ部の急激な拡張により瘤を損傷する危険があるという課題があったため、ステントの先端部が、非収納時には、カテーテルの先端部から押し出され、外向きにカールしながら拡張する構成を採用したこと、それにより、瘤に対するサイズの自由度が高く、また、分岐部動脈瘤に損傷を与えないことにある。
Y1は文系の学部を卒業し、金融機関に勤務した後、理学博士の兄と共に第1審原告会社を立ち上げたが、臨床上の知見はない。
一方、協力者であったA教授は、臨床経験豊富であり、A教授の研究ノートには、本件発明1-3の課題と解決手段が明確に記載されており、本件発明1-3の特徴的部分の完成に現実的に関与したのは、A教授と認めるのが相当である。
<PCT出願に係る特許を受ける権利の確認請求>
第1審原告は、本件訴訟において特許を受ける権利の確認判決を得た後、特許協力条約の締約国の中から現実に特許を取得したい国や地域を選択して、新たな出願又は権利の回復の手続を求めていくとする。しかし、属地主義の原則に照らし、特許を受ける権利が諸外国においてどのように取り扱われ、どのような効力を有するかについては、当該特許を受ける権利に基づいて特許権が登録される国の法律によって決せられると解されるところ、当該発明につき、いかなる外国においても新たな出願又は国内移行等がされておらず、その具体的な予定も明らかにされていない現時点において、当該発明につき特許を受ける権利を確認することについて、紛争の成熟性を認めることはできない。
https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-94055.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)