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【種苗法★】育成者権侵害を立証する鑑定の信用性が認められないとして、原告の請求を棄却した事例

2026年02月24日

東京地判令和7年4月24日(令和4年(ワ)第2829号)(中島基至裁判長)

◆判決本文

【事案の概要】
原告は、しいたけ(登録番号第17039号)の育成者権を有し、被告らの菌床の輸入及び譲渡並びに、しいたけの生産及び譲渡行為が、原告の育成者権を侵害するとして、民法709条及び719条1項に基づき、連帯して、損害賠償金5548万5724円及び遅延損害金の支払を求めた事案である。

裁判所は、中核的争点を①原告自ら用意した試験管の培地上に菌糸を事前に混入させることができるかどうか、②原告が親株を廃棄した理由及びこれが適切であったかどうかに絞った。本判決は、原告が本件試験管に原告品種の菌糸を事前に混入していた可能性を十分に否定することはできず、これを前提とする本件鑑定の結果は、その信用性を欠くものと認めるのが相当であり、その余の点について判断するまでもなく、原告の請求は理由がないとして、原告の請求を棄却した。

 

【従前の裁判例を踏まえた前提となる説明-種苗法における育成者権侵害の立証】
種苗法の品種登録制度により保護の対象とされる「品種」とは、特性の全部又は一部によって他の植物体の集合と区別することができ、かつ、その特性の全部を保持しつつ繁殖させることができる一の植物体の集合をいう(法2条2項)。これは、現実に存在する植物体の集合そのものを法による保護の対象とするものである。そして、育成者権の及ぶ範囲について,「品種登録を受けている品種(以下「登録品種」という。)及び当該登録品種と特性により明確に区別されない品種」を「業として利用する権利を専有する」と定める(法20条1項)。この「登録品種と特性により明確に区別されない品種」とは、登録品種と特性に差はあるものの、品種登録の要件としての区別性が認められる程度の明確な差がないものをいう。具体的には、登録品種との特性差が形質毎に設定される階級値(特性を階級的に分類した数値。例えば、登録品種がイチゴの場合の特性として、「果実の縦横比」、「果実の大きさ」、「果皮の色」等がある。)の範囲内にとどまる品種は、ここにいう「登録品種と特性により明確に区別されない品種」に該当する場合が多いと解され、特性差が上記の範囲内にとどまらないとしても、相違する項目やその程度,植物体の種類,性質等を総合的に考慮して,「登録品種と特性により明確に区別されない品種」への該当性を肯定することができる場合もあるというべきとされる。
そして、「育成者権の効力が及ぶ品種であるか否かを判定するためには,最終的には,植物体自体を比較して,侵害が疑われる品種が,登録品種とその特性により明確に区別されないものであるかどうかを検討する(現物主義)必要があるというべきである。」とされる(平成27年6月24日知財高裁判決・平成27年(ネ)第10002号育成者権侵害差止請求控訴事件、原審:東京地判平成26年11月28日・平成21年(ワ)47799号/平成25年(ワ)21905号)。

 

【判決要旨】
1.本件各植継行為等の信用性に対する判断
前記前提事実、前記認定事実及び弁論の全趣旨によれば、本件各分離行為、本件各植継行為及びその後複数回行われた植継行為(以下、併せて「本件各植継行為等」という。)により、被告各商品から分離されて植え継がれた菌糸につき、本件鑑定が行われたことが認められる。そこで、本件鑑定の信用性を判断する前提として、本件各植継行為等の信用性(争点1-1)を検討する。
・・・そうすると、原告は、種苗管理センター等の第三者機関ではなく、原告 自らあえて自社内で事前に本件試験管を準備するなど、原告品種の菌糸を混入させるに十分な時間があったことを踏まえると、本件試験管に目視できない程度の大きさの原告品種の菌糸を事前に混入することが十分可能であったというべきである。のみならず、前記認定事実及び弁論の全趣旨によれば、原告は、本件各植継行為等の後、本件親株を自ら又は種苗管理センターをして廃棄し、その合理的な理由を説明していないのであるから、原告は、本件各植継行為等の事後的な検証を自ら不可能にさせていることが認められる。これらの事情を総合すると、原告が本件試験管に原告品種の菌糸を事前に混入していた可能性を十分に否定することはできず、これを前提とする本件鑑定の結果は、その信用性を欠くものと認めるのが相当である。

2.その他
本件各植継行為等は、本来的には、公平中立な第三者機関において実施されるべきものであり、仮に原告の自社内において実施せざるを得ない事情があったとしても、そもそも原告の自社内で実施する以上菌種の混在又は試験管のすり替えなどのおそれがあることは、被告らが主張するとおりである。その他に前記において説示したところを踏まえると、本件各植継行為等に当たっては、少なくとも、種苗管理センター等の第三者機関に当該試験管を用意させ、その親株も廃棄せずに保管しておくことは、裁判手続における鑑定の公平性、透明性の重要性に鑑み、必要不可欠であったというべきである。それにもかかわらず、原告は、あえてこれらを怠ったものであり、本件試験管を原告自ら用意する必要性及び相当性について合理的な説明をするものではなく、また、本件親株の廃棄についても、菌糸の植継ぎによって本件親株は不要となったから廃棄したにすぎず何ら問題がない旨説明するにとどまるのであるから、少なくとも本件各植継行為等は、上記において説示したとおり、信用性を欠くものであり、これを前提とする本件鑑定も、信用性を欠くというほかない。

 

【コメント】
本件は育成者権侵害訴訟における侵害立証のための証拠としての鑑定の信用性について言及した貴重な裁判例である。育成者権の効力が及ぶ品種であるか否かを判定するためには、現物主義に基づき登録品種と侵害が疑われる品種を比較栽培する鑑定が不可避である。この点、種苗管理センター(https://www.naro.go.jp/laboratory/ncss/)は、種苗法第15条第2項に基づき、国が行う品種登録の審査に必要な出願品種と既存品種との区別性等のデータを得るための「栽培試験」を実施する機関であり、比較栽培試験について極めて専門性が高い。そのため、訴訟当事者は、公平中立な第三者機関として種苗管理センターに鑑定を依頼する場合が多いと考えられるが、本件判決からは、その際に試験管の用意を鑑定実施機関に依頼する、鑑定後の親株の保管も第三者に依頼する等極めて慎重に鑑定を実施することが重要であることが理解される。

 

【Keywords】育成者権、鑑定の信用性、現物主義

※本稿の内容は、一般的な情報を提供するものであり、法律上の助言を含みません

 

文責:弁護士・弁理士 外村 玲子(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:r_tonomura☆nakapat.gr.jp (☆を@に読み替えてください)

 
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