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【発明のカテゴリー②】 「単純方法の発明」と「製造方法の発明」との区別

2023年04月07日

【発明のカテゴリー②】

 「単純方法の発明」と「製造方法の発明」との区別

⇒実施の範囲が異なるから、区別は重要(特許法2条3項)

審査基準~「物を生産する方法の発明には、物の製造方法、物の組立方法、物の加工方法等の発明がある。いずれも、(i)原材料、(ii)その処理工程及び(iii)生産物の三つから成る。」(実施可能要件の説明部分)

※4つの下級審裁判例も要確認(添付)

①東京高裁平成16年(ネ)第4518号「切削オーバーレイ工法」事件⇒単純方法

②東京高裁平成15年(ワ)第860号「点検口の蓋の取付方法」事件⇒単純方法

③大阪地裁平成23年(ワ)第6878号「着色漆喰組成物の着色安定化方法」事件⇒単純方法

④東京地裁平成13年(ワ)第3764号<飯村>「L-α–アスパルチル-L-フェニルアラニンメチルエステルの晶析法」事件⇒製造方法方法

  カリクレイン最高裁判決の後、「単純方法の発明」であるか「製造方法の発明」であるかが争点となった下級審裁判例としては、以下の4件が挙げられる。

  ①大阪地判平成23年(ワ)第6878号は、「本件特許発明1は,その特許請求の範囲の記載において,『着色漆喰組成物を生産する特定の方法』など,物を生産する方法であることを示す表現にはなっていない。また,本件明細書1の記載を参照しても,着色安定化方法によって,色飛び,色むらのない着色漆喰塗膜を形成することができるとされており,これによると,本件特許発明1の方法により生産した物とは,最終的に形成された漆喰塗膜であると解する余地があるのであり,着色漆喰組成物を生産する方法の発明であることが明確に示されているとはいえない。以上によれば,本件特許発明1については,物を生産する方法の発明ではなく,単純方法の発明と解するのが相当である…」と判示して、単純方法の発明であると認定した。(同事案では、間接侵害が成立した。控訴審判決は存在しない。)

(参考)上記裁判例①の“特許請求の範囲の記載”

 「…を含有する着色漆喰組成物の着色安定化方法であって,当該着色漆喰組成物が水酸基を有するノニオン系の親水性高分子化合物を含有し,上記白色成分として石灰と無機の白色顔料を組み合わせて用いることを特徴とする方法。」

  ②大阪地判平成15年(ワ)第860号は、「…物を生産する方法の発明において、生産される物、すなわち製造、組立、加工などの対象とされる物は、少なくとも、譲渡又は輸入の対象となり得るような独立性のある物でなければならない…。…蓋の取り付けられた点検口は、シンクキャビネット・ガスキャビネットの背面の一部分をなすにすぎず、譲渡又は輸入の対象となり得るような独立性のある物であるとは認められない。したがって、本件方法発明は…単純方法の発明である…。…本件方法発明に係る点検口の蓋の取付方法がシンクキャビネット・ガスキャビネットの製造、設置の過程に組み込まれていたとしても、本件方法発明はあくまでも点検口の蓋の取付方法を内容としており、シンクキャビネット・ガスキャビネットの製造方法、組立方法の発明ではないから、本件方法発明によってシンクキャビネット・ガスキャビネットが製造されるとはいえず、したがって、原告の主張は、採用することができない。」と判示して、単純方法の発明であると認定した。

(参考)上記裁判例②の“特許請求の範囲の記載”

 「板体に形成された点検口を閉じる蓋を、基板の表面側と裏面側にそれぞれ弾性を有する挟持片と該挟持片より短い掛支片が突設された断面ほぼS字形の取付具を用いて取り付ける方法であり、基板と挟持片との間で点検口の周端縁を挟持するように、この取付具を点検口の上下に取り付け、蓋の下端縁を下方の取付具の基板と掛支片との間に差し込み、蓋を点検口側に押し付けた状態で上方の取付具を下方に押し下げることにより、蓋の上端縁を上方の取付具の基板と掛支片との間に差し込み、蓋を点検口の前面に保持するようにしたことを特徴とする点検口の蓋の取付方法。」

  ③東京高判平成16年(ネ)第4518号は、「本件発明は,『マンホール枠を含む舗装の切削オーバーレイ工法』という『工法』の発明であって,経時的に工程を表し,生産物を伴わず,目的物に変化を生じさせることを目的とするものではないと認められるから,物を生産する方法の発明には該当しない…。…『オーバーレイ』を『施工』した後,『切断』する等の工程が含まれるというにすぎない…から,本件発明をもって『オーバーレイ』を『生産』する方法の発明ということはできず」と判示して、単純方法の発明であると認定した。

(参考)上記裁判例③の“特許請求の範囲の記載”

 「マンホール枠を含む舗装の切削オーバーレイ工法において,(a)マンホール枠周囲の舗装が筒状に切断されると共に切断舗装版及びマンホール枠が撤去される工程,(b)マンホール基壁上に支持蓋が仮設されると共に支持蓋周囲の空洞部に舗装材が打設される工程,(c)舗装表面がマンホール基壁上の舗装材表面も含めて切削されると共に切削面にオーバーレイが施工される工程,(d)マンホール枠の設置予定域周囲の舗装がオーバーレイ上から筒状に切断されると共に切断舗装版及び支持蓋が撤去される工程,(e)マンホール基壁上にマンホール枠の据え付け基礎が構築されると共に据え付け基礎上にマンホール枠がその上面をオーバーレイ表面の高さに合わせて設置される工程,及び(f)マンホール枠周囲の空洞部に舗装材がオーバーレイ表面の高さまで打設される工程からなる切削オーバーレイ工法。」

 

  ④東京地判平成13年(ワ)第3764号は、「本件発明1は、物を生産する方法の発明か否かについて」と題し、「…『物を生産する』行為というためには、原料や材料等の出発物質に何らかの手段を講じて、その化学的、物理的な性質、形状等を変化させて、新たな物を得ることが必要であるのはいうまでもないが、その目的物質は、出発物質と比較して、社会、経済的観点に照らして、前者が新たな価値を伴った物であることも必要であるというべきである。そこで、このような観点から、本件特許権1が、物を生産する方法の発明といえるか否かを検討する。」という一般論を述べた上で、「…〈1〉本件発明1は、従来、APM溶液の晶析による製造工程において、撹拌手段を備えた晶析装置を用いて晶析を行った場合、微細な針状の結晶しか得られず、固液分解性が極めて悪かったという問題点を解決しようとして、固液分離性に優れたAPMの結晶を得ることを目的とした発明であること、〈2〉本件発明1は、その出発物質が「L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニンメチルエステルの水性溶液」であり、目的物質は「L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニンメチルエステルの結晶」であって、両者は、化合物の組成においては、共通であるけれども、その形態において、大きく異なっており、この点が、目的物質の経済性や市場価値において決定的な意味を有していること、〈3〉その目的物である結晶状態のAPMは甘味剤として使用・譲渡の対象となる物であること等の諸点に照らすならば、本件発明1におけるAPMの水性溶液からAPMの結晶を得る行為は、前述した原料、材料に何らかの変更を加えることによって、取引の対象たるに値する物を作出する行為であるといえるから、物の生産行為に該当すると解すべきである。また、以上に述べたところに特許請求の範囲請求項1の記載を併せて見れば、本件発明1の生産の対象となる物は、APM束状集合晶と解するのが相当である。」と判示して、製造方法の発明であると認定した。

 (参考)上記裁判例④の“特許請求の範囲の記載”

 「L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニンメチルエステルの水性溶液よりこれを冷却晶析するにあたって、冷却後の析出固相が存在する溶媒1リットルに対して約10g以上となるよう初期濃度を設定し、溶液全体を見掛け上氷菓(シャーベット)状の疑似固相となるように、機械的撹拌等の強制流動を与えることなく、伝導伝熱により冷却し、疑似固相を生成せしめることを特徴とするL-α-アスパルチル-L-フェニルアラニンメチルエステルの工業的晶析法」

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※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)

 
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