<審判実務者研究会報告書2024>事例6(商標)
【ありふれた氏と慣用的名称とを結合してなる商標の商標法3条1項4号該当性】
令和5年(行ケ)10031『池上製麺所』事件
氏以外の語義の方が知れ渡っており、語句が通常はそちらの語義の方で認識されている等の事情がある場合、「ありふれた氏」該当性の判断に影響し得る。
「ありふれた氏」該当性の判断において、当該氏を有する者の人数をどう考慮し得るかという点については、具体的な人数で線引きすることは難しいとしつつも、判断の客観性を確保する観点から、具体的な数値的基準を置くことの合理性も認める見解が多数であった。
商標を構成する語に当たる氏を有する者の人数が多くなくとも「ありふれた氏」といい得る場合
⇒①歴史上の人物や架空の人物の氏の場合、
②氏が地域的に偏在している場合
ありふれた氏と慣用的に用いられる業種名等との組み合わせからなる結合商標に対する適用条文について、本件判決とは異なり、登録拒絶にあたっては6号を適用すべきであるとした裁判例が存在する。(知財高判令和6年3月11日『田中箸店』事件)
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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