平成28年(ネ)10010<高部> 〔非磁性材粒子分散型強磁性材スパッタリングターゲット〕
*課題を具体的に認定した。⇒サポート要件×
「必要とする程度に漏洩磁束を高めるには, 球形の合金相(B)のCrの濃度変動の程度をも 考慮せざるを得ない」
(判旨抜粋)
…定性的には,球形の合金相(B)中にCrの濃度が低い領域と高い領域の存在により生じた濃度変動があれば,あるいは,球形の合金相(B)中に析出物としてCrが存在すれば,ターゲットの透磁率は低くなると解することは可能であるものの,球形の合金相(B)が存在するだけで,漏洩磁束をどの程度高められるかについては明らかではなく,必要とする程度に漏洩磁束を高めるには,球形の合金相(B)のCrの濃度変動の程度をも考慮せざるを得ないというべきである。
本件訂正は,球形の合金相(B)内においてCrの濃度変動があることを特定するものの,その濃度変動の程度を特定するものではない。そして,Crの濃度変動があることが特定されたとしても,…その濃度変動の程度が何ら特定されていない球形の合金相(B)を含むターゲットでは,当業者が本件訂正発明2の課題を解決できると認識できる範囲のものということはできない。したがって,Crの濃度変動の程度を何ら特定しない球形の合金相(B)を含む…本件訂正発明2は,発明の詳細な説明に記載された発明で,発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとはいえない。また,このような球形の合金相(B)を含むターゲットが,当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるということもできない。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/749/087749_hanrei.pdf
訂正後:R1(行ケ)10131<鶴岡> サポート〇
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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