平成22年(行ケ)10121【納豆食品】<滝澤>
*引用発明適格の「発明」性と、特許性判断時の「発明」性とは、基準が異なる。
(判旨抜粋)
…出願人の本来の意図と,請求項の記載との間に齟齬がないことは予定されているものであって,仮に,その間に齟齬があったとしても,それは,前記のとおり,本来,出願人の自己責任において処置されるべき問題であるから,審査官がその間に齟齬があるか否かを調査し,齟齬がある場合に,そのような出願の不備・欠陥を指摘する義務まで負うものではない。…
進歩性の判断に係る引用発明における「発明」の認定が,特許出願当時の技術水準を基礎として,特許出願に係る発明等の内容との対比に必要な限度において,その技術的思想を実施し得る程度に技術的思想の内容が開示されていることが必要であり,かつ,それで足りるというのに対し,特許性の判断における当該出願に係る「発明」の認定が,当業者が反復継続して目的とする技術効果を上げることができる程度にまで具体的・客観的なものとして構成されていることを要するというべきところ,両者における「発明」の認定について,同一の判断基準に拠っていないとしても,認定の目的及び対象が異なる以上,当然というべきであって,これを不合理であるということはできない。
したがって,被告が,同種事案について,特定の出願人に対して異なる基準を適用した場合に平等原則違反となることは格別,原告の主張をもって,被告が二重の基準に基づく不平等な取扱いをしているとはいえないことは明らかである。
https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/149/081149_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)