平成13年(行ケ)489【バネ構体】<塚原>

 

*従来公知物が、偶然充足しても特許性×。

 

従来公知のバネ構体においてはD/hという概念に着目されていなかったとしても…偶然にその数値範囲に含まれることが判明することも十分あり得る…従来公知のバネ構体そのものに特許を与えることにほかならず…不当…

 

(判旨抜粋)

…出願前においてD/hに着目した者がおらず,従来公知のバネ構体においてはD/hという概念に着目されていなかったとしても,その構成要素であるD(ゴム板の直径),h(ゴム板の総厚)自体は当然知られ得る状態で存在するので,その比であるD/hが特定の数値範囲に属するバネ構体が性能において優れていることが発見された場合に,従来公知のバネ構体のD/hを計算すると,偶然にその数値範囲に含まれることが判明することも十分あり得ることであり,その場合に,D/hが特定の数値範囲に属するバネ構体に特許を与えることは,従来公知のバネ構体そのものに特許を与えることにほかならず,これが不当であることは明らかである。

 

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/813/010813_hanrei.pdf?fbclid=IwAR2eW6Kqa0sYWBPd2DBDhO8V09-kOtRZNs4zhmz3wrIIO0ir4NPto2m-16U

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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