大阪地判令和7年(ワ)7193号【物品搬送設備】<松阿彌>
⇒職務発明対価請求棄却
①規定の策定及び運用プロセス
被告は平成28年の特許法改正及びガイドライン公表を受け、労働組合と協議を行い、報奨金制度や算定方法を説明していた。また、規定改定時には全従業員から意見を募集し、原告の意見にも回答するなど、慎重かつ真摯な手続を経ており、これらは合理的である。
②規定の周知性
規定は社内システムで常時閲覧可能であり、新人研修でも説明されていた。原告は在職中に報奨金を受領しており、制度を理解し得る立場にあった。
③規定の内容
実績報奨金は事業部及び知的財産部が客観的指標に基づいて評価し等級を決定する仕組みであり、発明者が意見を述べる機会も確保されているため、不合理ではない。
(判旨抜粋)『特許法35条5項において定める不合理性の判断の観点に、それ自体私的自治に委ねられるとも考えられる対価の額の妥当性が当然に含まれるかは疑問であるし、仮に考慮要素の一要素となり得るとしても、例えば出願報奨、登録報奨の低廉な一時金のみを支払い、その後特許権の実施によって会社が得た利益を分配しないような規定であれば格別、本件細則は、実施に係る特許権等の経済的価値を、利益貢献や競合の排除といった様々な観点から評価して段階的に相応の実績報奨金を支払うものであって、不合理とする点は見出しがたい。』
結論として、本件規定は不合理ではないため、規定の適用がないことを前提とする特許法35条7項に基づく法定の相当利益の請求は理由がない。
https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-95035.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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