令和6年(行ケ)10073【細胞傷害誘導治療剤】<増田>
≒令和6年(行ケ)10074
*特定の変異が技術常識であったとしても、引例に開示があるとまでは言えない。
⇒もっとも、進歩性×
(判旨)
相違点3(Fc領域の265位のアスパラギン酸がアラニンに変異しているかについての相違)については、甲第10号証の段落【0744】には、エフェクター機能を排除するか又は低減することが望ましい場合に「ある種の他のFc領域」が用いられ得ることが記載されているのみであり、この「ある種の他のFc領域」が具体的にいかなるものであるかは明らかにされていないから、仮に、Fcγ受容体結合親和性を低下させ、エフェクター機能を低下させるものの1つとして、Fc領域におけるD265A変異が周知技術又は技術常識であったとしても、この「ある種の他のFc領域」として、特定の変異であるD265A変異が記載されているとか、記載されているに等しいとかまでいうことはできない。
⇒もっとも、エフェクター機能を必要としない甲10発明の二重特異性抗体において、上記技術常識に基づいて、Fc領域にD265A変異を導入することは、当業者が容易に想到し得る。
⇒進歩性×
https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-94878.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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