令和6年(行ケ)10012【乳酵素処理物】<清水響>
*ウシ『常乳』を用いることの進歩性×
【主引例と本件発明との相違点】
「ウシ乳」について、本件補正発明は「ウシ由来の乳(ただし、ウシ初乳(母牛が分娩後10日目までに分泌する乳汁)を除く)」であるのに対し、甲1発明は「ウシ初乳(分娩後数日間に分泌されるもの)」である点。
(本判決)
優先日前の文献によれば、初乳と常乳のGc-グロブリン濃度の差は、分娩後1週間程度経過すればそれほど大きくなく、常に40倍以上の差があるとはいえない。
ウシ常乳は初乳に比べて圧倒的に流通量が多く入手しやすいため、Gc-グロブリン源として採用する動機付けは十分にある。
甲10実験結果は、比較対照である「ウシ初乳」の搾取時期や、実験に用いたマクロファージの反応性が同一であるか不明であり、統計的な有意差も検証されていないため、顕著な効果を裏付ける証拠として採用できない。
https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-93505.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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