令和2年(行ケ)10044【脂質含有組成物】<大鷹>

 

*刊行物に数値は記載されていたが、それ以下に限定する示唆は無かった。

 

刊行物5の記載は、「脂肪の摂取量」が「一日当り40g」に増加したこと自体が問題であることを述べたり,それを改善すべきことを示唆するものではない。

 

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(判旨抜粋)

 

【請求項19】…ω-6脂肪酸の用量は,40g以下である,脂質含有配合物。

 

被告は,①刊行物5には,脂肪の摂取量については1日当たり40gと増加しているとの記載及びそれを問題であると認識していることの記載があり,刊行物5発明は,脂質(脂肪)の取り過ぎの抑制を前提に,ω-6脂肪酸とω-3脂肪酸をバランス良く摂取することを技術思想とする発明であるから,脂質の一部である不飽和脂肪酸のさらに一部であるω-6脂肪酸を一定以下に抑えることは当然であり,脂質全体として取り過ぎであるとの認識である40gという値以下と特定することには 強い動機付けがある,②しかも,1日の脂質摂取は,刊行物5発明のドリンク剤組成物以外の食品からも生じるのであるから,1日又は1回当たりω-6脂肪酸40g以下との上限を設定することは,当業者が容易になし得る技術的事項であるから,当業者は,刊行物5発明において,相違点2に係る本願発明の構成とすることを容易に想到することができた旨主張する。

しかしながら,…刊行物5における「最近の日本人の食生活は欧米型化が進み,肉類を中心とした食事の機会が大幅に増え,脂肪の摂取量については一日当り40gと増加し,それに伴い,疾病の種類も変化し,高血圧,心臓病の循環器系疾患や乳癌,大腸癌などが増加して,こちらも欧米型化になり,大きな社会問題になっている。」との記載は,「脂肪の摂取量」が「一日当り40g」に増加したこと自体が問題であることを述べたり,それを改善すべきことを示唆するものではない。また,刊行物5の記載全体をみても,刊行物5において,脂肪の摂取量を1日当たり40gに差し控えるべきことや,「ω-6脂肪酸の用量」は,1日又は1回当たり「40g以下」とすべきことについての記載や示唆はない。 加えて,本件においては,他に「ω-6脂肪酸の用量は,40g以下」とすることが技術常識であることを認めるに足りる証拠はない。…

 

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/569/090569_hanrei.pdf

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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