令和元年(行ケ)10096〔樹脂組成物〕<森>
⇒化合物を選択した請求項2は進歩性〇
*引用発明と本願発明とで添加目的が異なる
「甲2~6は,アルコキシシラン化合物を使用する目的や対象が本件発明2とは異なる…」
(請求項1は、引用発明の数値範囲内で限定したが進歩性×)
(判旨抜粋)
…甲1発明1において,ポリイミド樹脂膜の支持体への密着性を向上させることができるカップリング剤として,本件発明2記載のアルコキシシラン化合物は記載されていない。また,本件発明2記載のアルコキシシラン化合物がキャリア基板に形成したポリイミド樹脂膜上に回路を形成後,キャリア基板から剥離するフレキシブルデバイス基板形成用のポリアミド樹脂組成物から形成した樹脂膜のキャリア基板への密着性を向上させるのに適するものであることが本件優先日の当業者の技術常識であったことを認めることができる証拠はない。そうすると,甲1に接した当業者が,本件発明2に記載されたアルコキシシラン化合物を選択する動機付けがあるとは認められないから,相違点3が容易想到であると認めることはできない。…
甲2~6によって,甲2~6にされたアルコキシシラン化合物を本件発明2のために用いるという動機付けがあるとは認められないから,相違点3が容易想到であると認めることはできない。なお,甲2~6には,ポリイミド前駆体に添加するシランカップリング剤として,本件発明2における4種のアルコキシシラン化合物のうちの少なくとも1種と甲1記載の他種のものが並列的に列挙されているとしても,甲2~6は,アルコキシシラン化合物を使用する目的や対象が本件発明2とは異なるから,本件発明2において,甲2~6に記載するアルコキシシラン化合物を用いることが容易想到であるとは認められない。
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(請求項1)
同じパラメータで、引用例の数値範囲内で限定したが進歩性×
「多少の試行錯誤を要するとしても,甲1に記載された0.1質量%以上3質量%以下の範囲から,0.2~2重量%の添加量を見いだすことは当業者が容易になし得た」
https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-89522.pdf
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(請求項2)
特定の化合物を選択した請求項2は進歩性〇
*引用発明と本願発明とで添加目的が異なる
★主副引用発明同士ではない。主引用発明と本願発明との課題の相違が問題である。
「甲2~6は…を使用する目的や対象が本件発明2とは異なる」
⇒容易想到でない。