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【著作権法★】応用美術の著作物性について分離把握可能性説が採用され,同説に基づき姿勢保持具の著作物性が否定された事例

2021年08月16日

知財高判令和3年6月29日(令和3年(ネ)第10024号)(森義之裁判長)

 

◆判決本文

 

【判決要旨】

1.応用美術の著作物性について

著作権法に明文の規定はないものの,実用に供される工業製品であっても,「実用的な機能と分離して把握することができる,美術鑑賞の対象となる美的特性」を備えている場合には,著作権法2条1項1号の「美術」の著作物として,著作物性を有するものと解される。しかし,そのような美的特性を備えていない場合には,著作物性を有することはないものと解される。なぜなら,実用に供される工業製品は,意匠法によって保護されるものであり,意匠法と著作権法との保護の要件,期間,態様等の違いを考えると,「実用的な機能と分離して把握することができる,美術鑑賞の対象となる美的特性」を備えている場合はともかく,そうでない場合は,著作権法ではなく,もっぱら意匠法の規律に服すると解することが,我が国の知的財産法全体の法体系に照らし相当であると解されるからである。
 
2.本件姿勢保持具「グッドコア」の著作物性について

本件姿勢保持具「グッドコア」は,全体として実用に供される工業製品として把握されるもので,その形状等は,幅広い体型にフィットさせるという目的や,エクササイズやストレッチをする際の補助具としての機能から,採用・設定されるものであり,「実用的な機能と分離して把握することができる,美術鑑賞の対象となる美的特性」を備えていると認めることはできず,著作物性が否定されるものである。

【判決書別紙2物件目録より引用】

 

【コメント】

1.応用美術の著作物性について,近年,知財高裁の裁判例上,従前の下級審の多数の裁判例における段階理論的な加重要件説を克服した,分離把握可能性説(知財高判平成26年8月28日判時2238号91頁〔ファッションショー事件〕)と無制限説(知財高判平成27年4月14日判時2267号91頁〔TRIPP TRAPPⅡ事件〕)とが並立し,その後の下級審,特に東京地裁の多数の裁判例上,分離把握可能性説が主流となったところ,判決要旨1は,改めて,知財高裁の裁判例として,著作権法2条1項1号前段所定の「創作的に表現したもの」か否かの問題としてではなく,同号後段所定の「美術・・・の範囲に属する」か否かの問題として,分離把握可能性説を採用するとともに,その根拠を「意匠法と著作権法との保護の要件,期間,態様等の違い」よる保護対象の峻別としたものと理解される。かかる判決要旨1は,学説上,特に金子敏哉教授の見解(金子敏哉「日本著作権法における応用美術-区別説(類型的除外説)の立場から-」著作権研究43号92~95頁)や大渕哲也教授の見解(大渕哲也「知的財産権法体系の二元構造における応用美術の保護(下)」法曹時報69巻11号3283~3286頁)に最も近いものと思われる。
 
2.判決要旨2は,本件姿勢保持具に判決要旨1をあてはめて,その著作物性を否定したものであり,同種の事案(実用品のプロダクト・デザインないしインダストリアル・デザイン)における上記知財高判平成27年4月14日以外の多数の裁判例における著作物性否定との結論と整合している。

 

【判決の抜粋】

1.応用美術の著作物性について

「本件商品のような実用に供される工業製品であっても,『実用的な機能と分離して把握することができる,美術鑑賞の対象となる美的特性』を備えていると認められる場合には,著作権法2条1項1号の『美術』の著作物として,著作物性を有するものと解される。しかし,そのような美的特性を備えていると認められない場合には,著作物性を有することはないものと解される。以上の点は,著作権法に明文の規定があるものではないが,実用に供される工業製品は,意匠法によって保護されるものであり,意匠法と著作権法との保護の要件,期間,態様等の違いを考えると,『実用的な機能と分離して把握することができる,美術鑑賞の対象となる美的特性』を備えていると認められる場合はともかく,そうでない場合は,著作権法ではなく,もっぱら意匠法の規律に服すると解することが,我が国の知的財産法全体の法体系に照らし相当であると解されるからである。」
 
2.本件姿勢保持具「グッドコア」の著作物性について

「本件商品は,全体として実用に供される工業製品として把握されるものであって,X字形の印象を与える形状は,幅広い体型にフィットさせるという目的で採用されたものであり(甲1⑮),突出部分に2種あるのも同様の理由によるものであり(甲3③),また,6個の突起部分も,エクササイズやストレッチをする際の補助具としての機能から設定されるものである(甲3③~⑦,甲16①,甲19)。控訴人が主張するように,本件商品は,形状に工夫が凝らされていて,これを見た者に美しいと感じさせることがあり,そのために機能的な面で犠牲を払った点があるとしても,エクササイズやストレッチをする際の補助具としての実用的な機能と分離して把握することができる,美術鑑賞の対象となる美的特性を備えていると認めることはできない。」

 

【Keywords】応用美術,著作物性,段階理論,加重要件説,分離把握可能性説,無制限説, 実用品,プロダクト・デザイン,インダストリアル・デザイン,姿勢保持具,グッドコア

 

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。

 

文責:弁護士・弁理士 飯田 圭(第二東京弁護士会)

本件に関するお問い合わせ先:k_iida@nakapat.gr.jp

 
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