【知財実務オンライン】税関による知的財産侵害物品の水際取締りの現況と課題と対応策(弁護士・飯田圭)
知的財産侵害物品の輸入差し止め実績の現況
仕出し国別では中国が件数の約8割
件数ベースで商標権が95%
小口化の傾向が顕著
模倣品は巧妙化しており、同一でなく、類似の商標・商品、あるいは無ブランドのデザイン模倣品が増加している。
個人輸入
知財侵害には「業として」の要件が必要だが、輸入行為の主体は「在内個人」と解釈されてきたため、個人使用目的の輸入は侵害が成立せず、税関での差止めが困難であった。
この問題に対応するため、令和3年改正商標法・意匠法、令和4年改正関税法により、「外国にある者」が「他人をして持ち込ませる行為」も輸入行為に含まれると明記され、海外のEC事業者等による模倣品の直送が規制対象となった。
⇒確認規定であり、特許でも同じ主張が可能か
消尽(並行輸入)
令和2年改正種苗法では、指定国以外への輸出(利用制限違反)も国内消尽が否定されることとなった。
外国で「無断増殖」された種苗から得られた収穫物の輸入は違法となるが、税関実務では輸入者側に適法性(無断増殖でないこと)の立証を求める運用が予想される。
抑止的効果のために、税関の受理状況を外国語でも表示するとともに、受理から10日で消える現状実務を変更すべきと考える。
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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