【知財実務オンライン】コロナで激増!アジア模倣品のネット販売の現状と対策(弁理士・舛谷威志)
模倣品販売は国境を越えた「越境EC」としてグローバルビジネス化しており、従来の中国国内中心の市場から、東南アジアやインドへと急速に拡散している。
模倣品ビジネスは巧妙化・高品質化している。
実在する本物の店舗写真を無断使用した「なりすまし販売」や、消費者レビューの偽装などが横行し、プラットフォーム側の取り締まりも限界に達している。
宅配便の普及による「小口輸送」の一般化も、ブランドオーナー側が侵害を発見することを困難にしている。
模倣品自体の品質も向上し、製造スピードも上がっている。最新製品が発売とほぼ同時に市場に出回る。
現地の正規製造工場からの技術や人材の流出、あるいは元現地代理人が模倣品製造に関与しているケースもある。
インドネシアやベトナムを中心に、日本の著名商標が現地で第三者に不正に登録される「冒認商標登録」も深刻な問題となっている。
中国では、WeChatのようなSNSに、ブランドオーナー向けの強力な模倣品対策機能が実装されている。
他ユーザーからの苦情(写真や購入店情報付き)をブランドオーナーが閲覧でき、中国全土の侵害状況の把握や証拠収集に活用できる。
東南アジアでも、LazadaやShopeeといった主要ECプラットフォームや、Facebookなどで削除申請プロセスが簡略化されている。
タイやベトナムでは、警察や税関の担当者とLINEなどのSNSで直接コミュニケーションが取れる。
税関職員から模倣品の疑いがある商品の写真がLINEで送られてきて、ブランドオーナーが真贋を鑑定し、即座に通関を差し止める。
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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