【特許/職務発明】大阪地判令和2年(ワ)12017
*OD錠化が発明の特徴的部分であるから、これに関与した原告は発明者である。
会社が別成分の製剤を既にOD錠化を行っていたが、本発明の製剤でない以上、発明者性を左右しない。
(判旨抜粋)
原告は、先発医薬品であるLカプセル等の服用上の問題点を認識し、カプセル錠よりOD錠の需要が多いことを調査した上で、アンブロキソール塩酸塩の口腔内崩壊錠であるOD錠の開発を発想し、他社製品の調査や技術的検討を行った上で、その開発をPJ会議で提案し、…次期開発品目選定会議までの間のPJ会議にすべて出席し、OD錠化に関する瀬踏み実験にも関与して、微粒子コーティングの実現可能性を一定程度具体化させ、同選定会議において正式な開発承認を獲得するに至っている。
そうすると、原告は…本件発明2の特徴的部分の着想をしたといえる。したがって、原告は、この点のみをもっても、本件発明2の発明者であると認められる。
これに対し、被告は、上記着想は、被告自身がアンブロキソール塩酸塩のカプセ ル剤を先行して販売しており、これをOD錠に剤形変更するとの発想は容易であり、この点は発明の特徴的部分とはいえず、その着想をもって本件発明2の発明者であるとはいえない、などと主張する。
従来技術として、カプセル錠からOD錠にした例(タケプロンなど)も見られるが、本件発明2と同じ成分であるアンブロキソール塩酸塩に関するものではなく、また、原告の提案に先立って、被告が上記先行販売品をOD錠に改良することを具体的に検討していたような事情も見当たらない。そうすると、被告の主張する事実 をもって、上記特徴的部分及びこれを前提とする原告の発明者性に関する判断は左右されず、上記被告の主張は採用できない。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/388/092388_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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