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【特許★★】日本で初めて数値限定発明につき均等論第1要件の充足を認めた裁判例。ただし、第5要件は否定した。⇒均等侵害×

2025年08月21日

【特許★★】日本で初めて数値限定発明につき均等論第1要件の充足を認めた裁判例。ただし、第5要件は否定した。⇒均等侵害×

-知財高判令和6年(ネ)第10026号【熱可塑性樹脂組成物】<宮坂裁判長>-

(原審・大阪地判令和4年(ワ)第9521号)

◆判決本文

【本判決の要旨、若干の考察】

1.特許請求の範囲、イ号製品との相違点

(1)請求項1

1A:ラクトン環構造、無水グルタル酸構造、グルタルイミド構造、 N-置換マレイミド構造および無水マレイン酸構造から選ばれる少なくとも1種の環構造を主鎖に有する熱可塑性アクリル樹脂と、

1B:ヒドロキシフェニルトリアジン骨格を有する、分子量が700以上の紫外線吸収剤と、

1C:を含み、

1D:110℃以上のガラス転移温度を有する

1E:熱可塑性樹脂組成物。

1F:ここで、前記ヒドロキシフェニルトリアジン骨格は、トリア ジンと、トリアジンに結合した3つのヒドロキシフェニル基とから なる骨格((2-ヒドロキシフェニル)-1、3、5-トリアジン骨格)である。

(2)イ号製品との相違点

 イ号製品は、分子量が「699.91848」であるから、「分子量が700以上」でない。

2.判旨抜粋

(1)①文言充足について(四捨五入論)⇒非充足

『本件で問題となっている(紫外線吸収剤の分子量)「700以上」という数値範囲は、権利者(出願人)が、権利範囲を画定するために自ら定めたものであり、特許発明の技術的範囲(独占の範囲)に属するものと属さないものを、一線をもって区分する線引きにほかならない。そうである以上、上記数値範囲の下限である「700」は、切り下げられた小数点以下の端数も、切り上げられた小数点以下の端数も持たない、本来的な意味での整数値と解釈するのが相当である。 数値範囲にこれと異なる趣旨、役割を持たせたいのであれば、特許請求の範囲又は明細書に、分子量の計算方法や小数点以下の数値の処理等を説明しておくべきである。本件明細書等にそのような記載がないことは前述のとおりであり、以上によれば、「分子量が700以上」という構成要件は、分子量が700をたとえ0.00001でも下回れば、これを充足しない(その技術的範囲に属さない)ものと解すべきことになる。』

(2)均等論~第1要件〇であるが、第5要件×

『上記数値範囲は、臨界的意義を有するものではなく、本来、本件各発明の作用効果との関係で技術的意義を有する分子量は、ピンポイントの700ではなく、かなり広い幅にまたがる数字と考えられるところ、いわば「切りのよい数字」として「700以上」という数値限定を採用したものと理解される…。そして、紫外線吸収剤としての性質が分子量699.91848の場合と700の場合とで実質的に異なるとは考え難い…。そうすると、上記分子量の相違は、本件各発明の本質的部分に関するものとはいえないと解される。本件で、均等論の第1要件は充足する。』

『「700以上」という整数値をあえて使用しており、分子量700という数値に臨界的意義も認められないから、当該数値は控訴人がいわば任意に選択して定めたものといえる。また、控訴人としては、その数値範囲を「699.5以上」とすることや、分子量の小数点以下の数値の取扱いについて定めることも容易にできたのに、あえてそのような手当もしていない。これは、小数点以下の数値は、技術的に意味のある数字でないという理解に加え、法的にも特段の含意がない(特別な意味を持たせない)ことを前提とするものである。そうすると、控訴人が特許請求の範囲において分子量を「700以上」とする数値範囲を定めたということは、「700以上」か「700未満」かという線引きをもって特許発明の技術的範囲を画し、下限値「700」をわずかでも下回る分子量のものについては、技術的範囲から除外することを客観的、外形的に承認したと認めるのが相当であり、均等論の第5要件は充足されない。』

*原審・大阪地判令和4年(ワ)9521は、「数値に設定することに意義のある発明は、特段の事情のない限り、その数値による技術的範囲の限定が特許発明の本質的部分に当たる」として、均等論第1要件も否定していた。

3.若干の考察~数値限定発明の四捨五入論及び均等論について

被控訴人製品(分子量699.91848)が、分子量「700以上」という数値限定を充足するかが問題となった。結局、出願人が『あえて』「700以上」と整数で区切っている以上、四捨五入論は使えないし、技術的範囲から除外することを客観的、外形的に承認したものとして均等論第5要件を否定した。

本判決の判示からすれば、「700.0以上」とクレームしてあれば四捨五入論により699.95以上は充足となったのであろうか。

また、切りが良い整数でなく、有効数字3桁であることを明示するために、「7.00×102以上」と書けばよいのか?

確かに、特許は科学と全く同じではないし、請求項に記載された文言の解釈であるから、切りよく「700」と、「7.00×102以上」とで解釈が異なったとしても、直ちに不合理とは言えない。

ただ、「分子量」は物質固有の値であり、測定誤差がないから、本件特許発明の数値は、四捨五入論が適する類型ではなかったかもしれない。

何れにしても、本判決のロジックによれば、多くの場合、数値の均等論は第5要件が否定されてしまうと思われるから、これまでの裁判例と同じく、数値については、均等論よりも四捨五入論の方がまだ可能性があると思われる。(もっとも、日本では、四捨五入論が特許権者有利に判示された裁判例は存在しない。)本判決を前提として、数値について均等論第5要件をクリアするためには、例えば、明細書中に限定する趣旨でないこと、例えば、数値は実施可能要件・サポート要件との関係で目安として特定したに過ぎないなど、積極的に限定する趣旨ではないことを記載しておくことが有益であるかもしれない。

そうはいっても、第三者の予見可能性とのバランスを考慮する特許では、四捨五入論も均等論も、科学の考え方と同様に解釈することもできず、本判決の結論が妥当なのかもしれない。(確かに、「700以上」が一桁であるから650以上を含むとは考え難い。)

※大阪地判平成14年(ワ)10511が、測定誤差論を斥ける文脈で、『有効数字の桁数とは別に、実施例を根拠として、特許請求の範囲に技術的範囲の上限を「3ミクロン」とクレームした場合に、実施例における誤差の最大の範囲が権利範囲に含まれるとすることにも疑問があるところである。なぜなら、実施例において、0.5ミクロンの誤差があるのであれば、その誤差の範囲まで、すなわち、「3.5ミクロン未満」を上限として特許請求の範囲に記載すればよいのである。ところが、これをせずにおいて、特許請求の範囲に上限を「3ミクロン」と記載しておきながら、「3.5ミクロン未満」が技術的範囲であるとすることは、特許請求の範囲の記載の明確性を損なうものである。』と判示したことと通ずる。

もっとも、そのように当初明細書に書けばよかったことは判決文を見て初めてわかることなので、当該具体的事案においては特許権者に酷である。ただ、実務家としては、今後の特許出願については、本判決を意識してクレーム作成するべきであろう。

結論としては、科学における数値(範囲)と、特許における数値(範囲)は、同じ解釈ではないと考えられる。

※本判決に照らせば、四捨五入論及び均等論第5要件との関係で、発明の詳細な説明に、「本発明の数値限定は、実験データに基づく技術的指標を明確にするために示したものであり、±X% 程度の誤差または測定ばらつきの範囲にある値を含むものとして解釈されるべきである。したがって、本発明の技術的範囲は、数値範囲からわずかに外れる値を除外する趣旨ではない。」と記載しておくことが有用かもしれない。この点を更に一般化すれば、「数値範囲の上下限における僅かな逸脱(例えば測定誤差や四捨五入による差異など)をもって本発明の技術的範囲から当然に除外する趣旨ではない。」と記載しておくことが有用かもしれない。

発明の詳細な説明にこのように記載することで発明の技術的範囲が広がる(四捨五入論、均等論)のであれば、明確性という観点から問題が出てくるかもしれない。明確性要件は、請求項の文言のみならず、発明の詳細な説明を参酌すれば明確であるという判決が多いが、発明の詳細な説明にこのように記載すると、逆に、請求項の文言(例えば「700以上」)は明確であるが、発明の詳細な説明を参酌すると、どの範囲まで(例えば、700をどの程度下回っても)発明の技術的範囲に属するかが不明確となるという問題が考えられる。

※数値が目安に過ぎないときは、数値に「付近」・「約」を付けると広がりやすい。実際、燻し瓦事件最高裁平成10年4月28日平成6年(オ)2378号は、特許請求範囲の「摂氏1000度ないし900度付近」の「付近」の解釈が争われ,燻化温度が最高890℃である被告方法を侵害でないとした高裁判決を取り消して差し戻した。その理由は,発明の詳細な説明には,「付近」の意義を解釈するに当たり参酌すべき作用効果が開示されており,これを参酌をせずに特許請求の範囲を解釈した原審の判断には,特許法70条の解釈を誤った違法があるというものであった。

【関連裁判例の紹介(四捨五入論、数値の均等論を認めた諸外国の判決)】

1.四捨五入論

(1)「有効数字」に基づく四捨五入の主張

東京地判平成12年(ワ)第19360号【水管式ボイラ】事件⇒充足論△

「1.1≦P/D≦2.0」という数値範囲について、「2.02322は,有効数字で算定した場合に,2.0をほぼ充足すると解することもできなくない」としたものの、他の要件が非充足であるから結論に影響がないとされた。(リップサービス?)

大阪地判平成14年(ワ)第10511号【酸素発生陽極】事件⇒充足論×

クレームアップされた数値は有効数字1桁であったが、実施例の測定結果は少なくとも2桁であったことを考慮して、有効数字1桁での四捨五入を否定した。均等論も否定された。

※このように、裁判所は、有効桁数に基づく四捨五入により数値範囲に属するという主張を、一般論として否定はしていない。もっとも、非充足の結論が出ている事案における、単なるリップサービスに過ぎないのではないかとも思われ、これらの裁判例に依拠することは危険である。

知財高判平成27年(ネ)第10036号【ピタバスタチンカルシウム塩の結晶】事件<高部>⇒充足論×

*結晶多形の構造を15個の回析角(小数点第2位)で特定した。⇒±0.2°の誤差は許容されず、非充足

「本件各発明の構成要件C・C’においては,4.96°,6.72°,9.08°,10.40°,10.88°13.20°,13.60°,13.96°,18.32°,20.68°,21.52°,23.64°,24.12°及び27.00°の回折角(2θ)にピークを有することをもって規定されており,ピタバスタチンカルシウム塩の結晶が15本のピークの小数点以下2桁の回折角(2θ)を有することにより特定されている。…特許請求の範囲…上記回折角の数値に一定の誤差が許容される旨の記載や,上記15本のピークのうちの一部のみの対比によって特定される旨の記載はない。…明細書中には,結晶形態Aに係る回折角について,その数値に一定範囲の誤差が許容されることや15本のピークのうちの一部のみによって結晶形態Aを特定することができることをうかがわせる記載は存しない。以上によれば,特許請求の範囲の記載に加え,本件各明細書の記載を参酌したとしても,本件各発明の構成要件C・C’を充足するためには,15本のピーク全ての回折角の数値がその数値どおり一致することを要し,その全部又は一部が一致しないピタバスタチンカルシウム塩の結晶又はその保存方法は,本件各発明の技術的範囲に属するということができないものと解するのが相当である。…」

(2)「製造誤差」に基づく四捨五入の主張

前掲・大阪地判平成14年(ワ)第10511号【酸素発生陽極】事件

特許請求の範囲は3.0μmが上限であるが、実施例において想定されている誤差の範囲(0.5μm)を考慮すれば3.5μm未満であれば発明の技術的範囲に属する旨の特許権者の主張も斥けた。⇒充足論×

東京高判昭和62年(ネ)1010【可変漸進集束力を有する光学レンズ】事件

「発明の構成要件が,・・・寸法等の数値を含むとき,その数値は設計値であり,かつ,その数値が当該発明の構成要件である。一定の製造上の誤差が予測 されるとしても,そのこと故に,構成要件であるその数値がその誤差の分だけ 広くなったり狭くなったりするものではない。」 ⇒充足論×

⇒クレームされた数値範囲(0.5mm)に製造誤差(±1.0mm)を考慮した値(2.5mm)まで技術的範囲に含まれるという特許権者の主張を斥けた。

(3)新規性・進歩性判断時の引用発明の認定における有効桁数

平成14年(行ケ)第213号【マイクロバブル】事件

公然実施品の測定結果「1.18」が、有効数字を2桁で「1.2」であるから、数値範囲「1.2~3.0」の発明は新規性が無いと判断した。

 同判決は、同数値は3つの要素の和であるところ、公然実施品の計算根拠となるデータは有効数字3桁のものと2桁のものが混在していたからそれらの和の有効数字は2桁であると論じているから、前掲・大阪地判 平成14年(ワ)10511(【酸素発生陽極】事件)と矛盾しない。

(4)請求項の数値に「約」等の程度を表す表現が付いている場合の権利範囲

 審査基準では、『範囲を不確定とさせる表現(「約」、「およそ」、「略」、「実質的に」、「本質的に」等)が…あっても発明の範囲が直ちに不明確であると判断をするのではなく、審査官は、明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識を考慮して、発明の範囲が理解できるか否かを検討する。』とされており直ちに明確性要件違反とはならないし、多数の裁判例で、発明の課題を解決できる程度として明確であるとして、明確性要件が認められている。

 最高裁判決平成6年(オ)2378号【燻し瓦事件】は,特許請求範囲の「摂氏1000度ないし900度付近」の「付近」の解釈が争われ,発明の詳細な説明に「付近」の意義を解釈する際に参酌すべき作用効果が開示されていたにもかかわらずこれを参酌せずに特許請求の範囲を解釈した原審の判断は特許法70条の解釈を誤った違法があるとして、燻化温度が最高890℃である被告方法を侵害でないとした名古屋高裁判決を取り消して差し戻した。

 韓国でも、特許大法院2002フ2181は、本件特許が「約0.8~1.5mm程度」であり、イ号製品が「約0.1~0.79mm」であった事案で、不織布の製造過程で示され得る製造誤差に該当すると判断した。もっとも、同事案では、別の構成が非充足とされた。

(5)小括

日本では、①有効桁数に基づく四捨五入も、②製造誤差も、特許権者勝訴判決がない。

⇒実施例の有効桁数、実施例が許容する製造誤差を考慮して、出願当初から特許請求の範囲の数値範囲を広げておくことも一考である。例えば、実施例の上限・下限が其々3.0、1.2であり、実施例の有効桁数が2桁であった場合なら、「1.15~3.04」という数値範囲をクレームアップしておく。同様に、製造誤差が0.1であれば、「1.1~3.1」という数値範囲をクレームアップしておくという発想である。

 このような発想は、前掲・大阪地判平成14年(ワ)第10511号【酸素発生陽極】の「実施例において、0.5ミクロンの誤差があるのであれば、その誤差の範囲まで、すなわち、『3.5ミクロン未満』を上限として特許請求の範囲に記載すればよいのである。ところが、これをせずにおいて、特許請求の範囲に上限を『3ミクロン』と記載しておきながら、『3.5ミクロン未満』が技術的範囲であるとすることは、特許請求の範囲の記載の明確性を損なうものである。」という判示と合致する。(⇒記載要件の問題は、裁判例が存在しないため、今後の検討課題である。)

2.数値限定発明の均等侵害を認めた外国判決

<1>米国連邦最高裁判決:Hilton Davis v. Warner-Jenkinson (1997)の原審であるCAFC判決(Fed. Cir en banc 1995、35USPQ2d 1641)

  • 数値限定に係るクレーム文言の概要
    • ろ過工程において、pH が約6.0~9.0の範囲で処理を行う方法
  • 対象製品(被告側製法)の概要
    • ろ過工程の処理をpH 5.0付近で実施
  • 均等侵害が認められた経緯(最終的判断に至る理由)
    • pH 5.0 であっても、雑物質除去の方法・機能・効果がクレーム記載の範囲と実質的に同等と判断され得る。
    • クレームの数値範囲である「pH6.0〜9.0」という数値範囲は補正により追加されたものであり、上限であるpH9.0は先行技術を回避することを理由としていたが、下限pH6.0は補正の理由は明らかでなく、従来技術との関係では必要なさそうであった。

      ⇒最高裁判決は、補正によってクレーム要素の限定が追加された場合は、「特許性に関連する実質的理由」により補正した推定されると判示して、CAFCに差し戻した。

<2>ドイツ:BGH(連邦最高裁)X ZR 168/00(2002年3月12日判決)Schneidmesser I

  • 数値限定に係るクレーム文言の概要
    • 刃の軸と本体との角度は9~12度
  • 対象製品(被告製品)の概要
    • 刃の軸と本体との角度は8.4度
  • 均等侵害が認められた理由
    • クレームにおける数値限定の解釈は、その他の要件の解釈と異なるものではなく、EPC69条のとおり明細書の記載や図面に基づいて解釈されるが、数値は他の要件よりも限定的に解釈される可能性がある。
    • 数値限定の上限及び下限の解釈は、明細書の記載により解釈される。専門家は、その値を通常の許容差に基づいて判断することも有り得る。
    • 9~12度という数値限定は、明細書の記載から、当業者であれば特許発明の効果を8.4度でも得られると理解する(作用効果の同一性)。

      (本事件の一審判決は、許容誤差の範囲内として侵害を認めていた。原審/二審判決は、均等侵害を認めていた。)

<3>韓国:特許法院2016ホ7954(2018.1.11)

  • 数値限定に係るクレーム文言の概要
    • 微細結晶性セルロースの主成分対比重量混合比が、「0.5以上3以下」
  • 対象製品(被告製品)の概要
    • 微細結晶性セルロースの主成分対比重量混合比が、「0.1以上0.5未満」
  • 均等侵害が認められた経緯(認めた理由)
    • 被告製品は、クレームで定められた混合比(0.5~3)と異なり、0.1以上0.5未満であるが、作用効果が実質的に同一であり、置換容易であるとされた。
    • 出願過程で審査官が引用した従来技術に対し請求項を補正しなかったこと、本件特許出願前に有効成分を含む錠剤が公知でなかったことから、クレームされた数値範囲外の混合比を除く意識的除外は否定された。
    • 上記の理由(実質的な効果の同一性、容易想到性、出願時の排除意思の欠如)を踏まえ、特許法院は被告製品が均等侵害に該当すると結論付けた。

       無水乳糖と乳糖水和物との相違点についても、均等とされた。

       なお、重量混合比「0.7以上3以下」という請求項との関係では、均等侵害が否定された。

(控訴人=原告)株式会社日本触媒

(被控訴人=被告)株式会社カネカ

執筆:高石秀樹(弁護士・弁理士)(特許ニュース令和7年8月4日の原稿を追記・修正したものです。)

監修:吉田和彦(弁護士・弁理士)

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。

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