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【商標法★】「睡眠コンサルタント」の文字を横書きしてなる商標について,第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,書籍の制作」等の指定役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり,取引者・需要者によって当該指定役務に使用された場合に役務の質を表示したものと一般に認識されるものであるから,商標法3条1項3号に該当する,と判断して,特許庁の拒絶審決を維持した事例

2022年03月29日

知財高判令和4年1月25日(令和3年(行ケ)第10113号)(東海林裁判長)

 

◆判決本文

 

【判決要旨】

1.商標法3条1項3号の趣旨及び判断基準について

商標法3条1項3号の趣旨は,同号所定の商標が,指定商品・役務の特性を表示記述し,取引に際し必要適切な表示として何人も使用を欲するため,独占適応性を欠くとともに,一般的に使用され,多くの場合自他商品・役務の識別力を欠くことにある。そうすると,同号に該当するためには,商標が指定商品・役務の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり,取引者・需要者によって当該商品・役務に使用された場合に,将来を含め,商品・役務の質を表示したものと一般に認識されれば足りる。そのように一般に認識されるかどうかは,当該商標の構成や当該指定商品・役務に関する取引の事情を考慮して判断すべきである。

 

2.本件商標による商標法3条1項3号該当性について

「睡眠コンサルタント」の文字を横書きしてなる商標(「本願商標」)は,その構成から,「睡眠の事柄について相談・助言・指導を行う専門家」の意味合いを容易に認識させる。また,「睡眠コンサルタント」に関する資格認定団体が存在し,当該団体が睡眠に関する専門的な知識の教授等を行っている例が複数あり,当該団体により資格認定された者が当該資格を称して睡眠に関するセミナーの開催等を行っている例が複数ある。また,それ以外にも,睡眠に関する専門的な知識を有する「睡眠コンサルタント」を称する者が,睡眠に関する知識の教授及びセミナーの開催等を行っている例が複数ある。さらに,知識の教授及びセミナーの開催等を行う業界において,その内容に関する書籍等が制作される実情がある。

以上からすると,本願商標は,第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,書籍の制作」等の指定役務との関係で,「睡眠に関する専門的な知識を有する者による,睡眠に関する役務である」という役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり,取引者・需要者によって当該指定役務に使用された場合に,役務の質を表示したものと一般に認識されるものであるから,当該指定役務について役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として,商標法3条1項3号に該当する。

 

【コメント】

1.判決要旨1は,商標法3条1項3号の趣旨及び判断基準について,従前の判例(最判昭54・4・10民集126号507号〔ワイキキ事件〕)及びこれに基づく多数の下級審裁判例(知財高判平26・5・14(平25(行ケ)10341号)〔オタク婚活事件〕,知財高判平26・8・6(平26(行ケ)10056号)〔ネットワークおまかせサポート事件〕,知財高判平27・9・16(平27(行ケ)10061号)〔納棺士事件〕,知財高判平27・9・16(平27(行ケ)10062号)〔湯灌士事件〕,知財高判平27・11・30(平27(行ケ)10152号)〔肉ソムリエ事件〕等)と同様に,判示したうえで,特に同判示に係る商標が取引者・需要者によって指定商品・役務に使用された場合に将来を含め商品・役務の質を表示したものと一般に認識されるかどうかは,当該商標の構成や当該指定商品・役務に関する取引の事情を考慮して判断すべきであると判示したものである。

 

2.判決要旨2は,判決要旨1を本件にあてはめて,本願商標について,取引者・需要者において一般に使用されていることや広く認識されていることを要求することなく,第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,書籍の制作」等の指定役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり,取引者・需要者によって当該指定役務に使用された場合に役務の質を表示したものと一般に認識されるものであるから,商標法3条1項3号に該当する,と認定判断したものである。

 

【判決の抜粋】

1.商標法3条1項3号の趣旨及び判断基準について

「商標法3条1項3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くと規定されているのは,このような商標は,指定役務との関係で,その役務の提供の場所,質,提供の用に供する物,効能,用途その他の特性を表示記述する標章であって,取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに,一般的に使用される標章であって,多くの場合自他役務の識別力を欠くものであることによるものと解される(最判昭和54年4月10日同53年(行ツ)第129号参照)。そうすると,出願に係る商標が,その指定役務について役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというためには,本件審決がされた令和3年7月26日の時点において,当該商標が当該役務との関係で役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり,当該商標の取引者,需要者によって当該役務に使用された場合に,将来を含め,役務の質を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される。そして,当該商標の取引者,需要者によって当該役務に使用された場合に役務の質を表示したものと一般に認識されるかどうかは,当該商標の構成やその指定役務に関する取引の事情を考慮して判断すべきである。」

 

2.本件商標による商標法3条1項3号該当性について

「『睡眠コンサルタント』が,『睡眠の事柄について相談・助言・指導を行う専門家』の意味合いを容易に認識させることは,その構成から明らかである。そして,…『睡眠コンサルタント』と称する資格又は『睡眠コンサルタント』の文字を含む名称を冠する資格を与える団体が存在し,当該団体が睡眠に関する専門的な知識の教授等を行っている例が複数あること(上記ア~エ),これらの団体により認定資格を得た者が『睡眠コンサルタント』と名乗り,睡眠に関する知識の教授,及び睡眠に関するセミナーの企画・運営又は開催を行っている例が複数あること(上記オ~ク),それ以外にも,睡眠に関する専門的な知識を有する『睡眠コンサルタント』と称する者が,睡眠に関する知識の教授,及び睡眠に関するセミナーの企画・運営又は開催等を行っている例が複数あること(上記ケ~タ)が認められる。また,知識の教授及びセミナーの企画・運営又は開催を行う業界において,講義及びセミナー等の内容に関する書籍(テキスト,問題集等)及びビデオ等が制作されている実情があることは,顕著な事実である。

以上からすると,本願商標は,本願指定役務である『技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)』との関係で,本件審決がされた令和3年7月26日の時点において,『睡眠に関する専門的な知識を有する者による,睡眠に関する役務である』という役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり,本願商標の取引者,需要者によって本願商標が本願指定役務に使用された場合に,役務の質を表示したものと一般に認識されるものであるから,本願商標は,本願指定役務について役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であると認めるのが相当である。

したがって,本願商標は,商標法3条1項3号に該当する。」

 

 

【Keywords】商標法3条1項3号,独占適応性,自他商品・役務識別力,取引の実情,睡眠コンサルタント,一般社団法人睡眠栄養指導士協会

 

 

※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。

 

文責:弁護士・弁理士 飯田 圭(第二東京弁護士会)

本件に関するお問い合わせ先:k_iida☆nakapat.gr.jp (☆を@に読み換えてください。)

 

 
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