【商標】令和6年(行ケ)第10058号<清水響>
歯科用歯形模型用支持台の立体的形状
⇒商標法3条1項3号、2項×
本願商標の形状のうち、
① 略楕円状の上面を有する直方体状の形状(底面は中抜きされている。)であり、
② 上面及び側面に規則的に孔やくぼみ、突起などを配置した形状であることは、一般的な支持台の形状ということができる。…
③その上面において、中央に5つの孔が一列に等間隔に並べられ、長手方向の両側縁の内側には、傾斜のある連続した突部が設けられ、その連続した突部の傾斜部には、半円状の切欠きが複数設けられた形状(第1特徴的形状)であること、前記連続した突部の一方と中央の連続した孔の間には、複数の小突起が一列に点線状に設けられた形状(第2特徴的形状)であることは、いずれも『歯科用歯形模型用支持台』(支持台)として、ともに『歯科用作業模型』を構成する『歯科用模型固定用プレート』(固定用プレート)の下面におけるダウエルピンの挿入だけでなく、切欠け部や突部との嵌合等により、両者が連結して固定され、又は連結強度を高めて確実に固定されるようにするという商品の機能に資することを目的とするものと認められる。
さらに、支持台の上面における第1特徴的形状及び第2特徴的形状が、両側縁内側において連続的に突部が設けられたり、その一方と中央の連続した孔の間においても一列に点線状に小突起が設けられたりするなど、その配置は美感を高めるものと認められる。そして、同業者の同種の商品においても、上面の孔の周辺や縁辺等を含め種々の凹凸、くぼみ、突起等が設けられているものが多く製造販売されていることや、原告が保有する特許の明細書において、本願商標の各特徴的形状と同様の立体的形状を備える支持台が記載され、これらの複数の突部及び凹部が、連結補助用のものであり、支持台と固定用プレートの連結強度をより一層高めるためのものであることが開示されていることなどに照らすと、本願商標の各特徴的形状を含む形状は、客観的にみて、当該商品の用途、性質等に基づく制約の下で、同種の商品等について、機能又は美観に資することを目的とする形状の選択であると予測し得る範囲のものと認めるのが相当である。本願商標は、商品の立体的形状以外の標章は含んでいないから、本願商標は、その需要者からみて、指定商品である歯科用歯型模型用支持台の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として、自他商品識別力を有さない…。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/699/093699_hanrei.pdf