令和2年の差止実績の特徴として、①輸入差止件数は、3年ぶりの3万件超え(30,305件(前年比26.6%増))、②輸入差止点数は、589,219点(前年比42.2%減)、③輸入差止価額は、推計で約136億円に上るとされています(1つの貨物に複数の商品が梱包されているため、差止件数と差止点数、それぞれで集計されています)。
[出典:財務省ウェブサイト https://www.mof.go.jp/customs_tariff/trade/safe_society/chiteki/cy2020/20210305a.htm]
1 知的財産別輸入差止実績
(1)侵害された知的財産別に見ると、輸入差止件数では、商標権侵害物品が29,483件で構成比96.7%を占め、次いで偽キャラクターグッズなどの著作権侵害物品が576件で同1.9%となりました。
(2)また、輸入差止点数についても、商標権侵害物品が416,599点で構成比70.7%です。令和2年度の新しい傾向として、スマートフォンのグリップ・スタンドなどの特許権侵害物品が40,523点が大幅に増え(前年比110.9%増)ました。
[出典:財務省ウェブサイト https://www.mof.go.jp/customs_tariff/trade/safe_society/chiteki/cy2020/20210305a.htm]
2 品目別輸入差止実績
(1)品目別の輸入差止件数をみると、バッグ類が9,931件(構成比29.2%)を占めて最も多く、2位が衣類で9,166件(同27.0%)、3位が時計類で4,057件(同11.9%)となりました。
(2)輸入差止点数は、衣類が67,582点(構成比11.5%)と最も多く、2位がイヤホンなどの電気製品で64,728点(同11.0%)、3位として包装用品などの紙製品が47,461点(同8.1%)となりました。
[出典:財務省ウェブサイト https://www.mof.go.jp/customs_tariff/trade/safe_society/chiteki/cy2020/20210305a.htm]
当事務所でも、商標権侵害、著作権侵害、意匠権侵害に基づく差止申立て等の代理を行っており、差し止められたという報告を税関から頻繁に受け、効果を実感しております。具体的には、昨年1年間で約80件、2万個以上の差止めを行いました。また、侵害品の輸入個数が極めて多い、頻度が高い、警告状を送付しても販売を停止しない場合等の事情が認められる場合には刑事事件として対応を行っております。
文責:弁護士・弁理士 外村 玲子(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:r_tonomura@nakapat.gr.jp