令和元年8月28日判決
知財高判平成30年(行ケ)第10164号(高部裁判長)
「酸味のマスキング方法」事件
三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の特許第3916281号(請求項1、下掲)について、進歩性〇の審決が取り消されました。
「【請求項1】 醸造酢を含有するドレッシング,ソース,漬物,及び調味料からなる群より選択される少なくとも1種の製品に,スクラロースを該製品の0.0028~0.0042重量%の量で添加することを特徴とする該製品の酸味のマスキング方法。」
同じ特許について、前訴である平成29年7月19日・平成28年(行ケ)第10157号(清水裁判長)は、訂正要件×、サポート要件×とした無効審決を、訂正要件〇として取り消していました。
前訴時の審決は、進歩性欠如を無効理由としていませんでした。
もちろん、当事者の主張によるものである以上一概には言えませんが、平成29年頃はサポート要件が非常に厳しく、進歩性が非常に緩い傾向にあったのが、平成30年4月のピリミジン大合議判決の辺りからサポート要件が揺り戻してある程度緩和され、他方、進歩性が一時期と較べればやや厳しくなってきたことと関係があるかもしれません。
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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