知財高判平成30年(ネ)10043【第Ⅸ因子/第Ⅸa因子の抗体および抗体誘導体】<森>
*一部の製品が発明の数値範囲に属しても非充足とした。
機能的クレーム
⇒数値範囲で発明特定
⇒「バイオシミラー…と先発医薬品との同一性を担保することが困難とされていること」等が理由とされた。
(判旨抜粋)
本件明細書の…記載に加え,…本件各発明の請求項の記載を考慮すると,当業者は,本件各発明の範囲に含まれる抗体又はその誘導体は,複数の評価方法のうち,色素形成アッセイ(FVIIIアッセイ)を実施した場合には,少なくとも3のバックグラウンドの対測定値の比(ネガティブコントロールとの比)を示すものが本件各発明の抗体及び抗体誘導体であると理解すると認められるから,「凝血促進活性を増大させる」とは,色素形成アッセイを実施した場合には,ネガティブコントロールとの比が3を超えることを意味すると認めるのが相当である。…
一般に,バイオ医薬品においては,バイオ医薬品の複雑な分子構造と特有な製造プロセスのため,バイオシミラー(バイオ後続品。既に認可された先発バイオ医薬品と,直接あるいは一対一比較により品質特性,有効性,安全性の観点から類似性を示すことにより先発品と類似した製品)と先発医薬品との同一性を担保することが困難とされていることが認められることも併せて考慮すると,一部に値が3を上回っているものがあるとしても,多くの場合において,値が3を下回っている前記実験結果に基づき,被控訴人製品が本件各発明の技術的範囲に属すると認めることはできない。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/994/088994_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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