知財高判令和5年(ネ)10071【チップ型ヒューズ】<宮坂>
原審で心証開示後に、請求項3の主張開始。
⇒当初から争点になっていた均等論第4要件回避目的
同一特許の別の請求項に係る発明を請求原因として追加することは、訴えの変更ではなく、攻撃防御方法である。
⇒時機後れ却下
★既判力の範囲という超重要問題に直結する!!
※原審・大阪地判令和3年(ワ)10032は、訴えの変更として、著しく訴訟手続を遅滞させるとして(民訴法143条1項ただし書き・4項)棄却していた。
Cf.令和5年(行ケ)10069【半田付け装置】<清水響>
*相違点に係る事実認定についても、第一次判決の拘束力は及ぶ!!
⇒一次審決で勝訴の特許権者に、前訴で審決がスルーした主張を課すことは、若干酷か…
⇒審決勝訴側も、予備的主張をしておかないと、拘束力により第二次訴訟で主張できなくなる。
Cf. 平成17年(行ケ)10179【おしゃれ増毛装具】<三村> *主引例と副引例を差し替えて、特許取消決定を維持した事例 「一致点・相違点…、…組合わせにつき審決や取消決定と異なる主張をすることは、…直ちに審判や特許異議…で審理判断された公知事実との対比の枠を超え…ない。」
Cf. 【論稿】塩月元判事の講演録(パテント誌2011年)
Q:審判で二つの無効理由が主張され,審決では無効理由Aが認められ,無効理由Bは否定されて,無効審決が下された場合
A:「二つの無効理由は審決で判断されているから…審決取消訴訟で両方の無効理由について,審理判断できる」
創部三十周年記念講演第3 回 審決取消訴訟における審理の範囲
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/795/092795_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:h_takaishi☆nakapat.gr.jp(☆を@に読み換えてください。)