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特許権の行使に対する独禁法違反の抗弁の成否

2022年10月24日

~原告の特許権行使が独禁法違反(取引妨害)により権利濫用であるとして権利行使を認めなかった東京地裁の判決とそれを取り消した知財高裁判決(リコー事件)について~

(知財高裁令和4年3月29日判決・令和2年(ネ)第10057号)

 

【背景】

日本では、特許権侵害訴訟において、特許権の行使が独占禁止法違反に当たる場合に、民法上の権利の濫用の抗弁が成立し得るということは、訴訟実務家の間では意識されていた。しかし、特許権侵害訴訟でその抗弁が主張されることは比較的めずらしく、ましてや、その抗弁の成立が判決で認められることはなかった。

東京地裁は、令和2年7月22日の判決[1]で、特許権侵害訴訟において、日本の裁判史上初めて独占禁止法違反を理由とする被告の権利濫用の抗弁を認め、特許権者の請求を棄却した。

今般、知財高裁は、原告の特許権の行使は、独占禁止法違反に当たらないとして、権利濫用の抗弁を認めず、特許権者の請求を認容した。ただし、この高裁判決も、原告の権利行使が独占禁止法に違反する場合に、その権利行使が権利濫用として認められなくなることがあるという理論自体は特に否定していない。

この事件は、日本の特許権侵害訴訟においても、独禁法違反の抗弁が成立しうることを明らかにしたものであり、さらに、地裁と高裁で独禁法違反についての判断が分かれた微妙な事案であり、世界中の知財実務家に、紹介する意義があると思われる。

 

【事案】(多少簡略化した)

原告である特許権者のリコー株式会社は、レーザプリンタのメーカーであり、プリンタ用のトナーカートリッジ(原告製品)も製造販売していた。

他方、被告らを含むリサイクル業者は、ユーザが使い終わった原告製品を回収して、中身のトナーを詰め替えることにより、トナーカートリッジの再生品を製造し、比較的安い値段で再生品を販売していた。これらの再生品は、原告製品と市場で競合していた。

原告は、トナーカートリッジの再生品が原告のプリンタ用として利用しにくくなるようにする手段をとるとともに(後述)、トナーカートリッジの電子部品に関する特許(原告特許[2])を取得した。

使用済みの原告製品にトナーを再充填した再生品を原告プリンタに装着すると、トナーの残量表示が「?」と表示され、異常を示す黄色ランプが点滅し、「非純正トナーボトルがセットされています。」との表示が出る。そのままでも印刷は可能であるものの、「トナーがもうすぐなくなります。」「交換用トナーがあるか確認してください。」との予告表示はされず、トナーを使い切ると、「トナーがなくなりました」「トナーを補給してください」というメッセージが出て、赤色ランプが点灯する。このように再生品が装着されると、原告の純正品とは異なる表示がされるようになっていた(「異なる表示」)。

再生品業者は、ユーザの使用時に「異なる表示」がされないようにするために、原告電子部品のデータを書き換えて、「異なる表示」がされないようにしている。

原告は、一部の製品において、上記のようなデータの書き換えができなくなる措置(「本件書換制限措置」)を施して、再生品業者の再生品の使用時に「異なる表示」がされるようにした。

被告らは、このような「異なる表示」がされることを避けるため、原告製の使用済みトナーカートリッジの情報記憶装置(「原告電子部品」)を別の電子部品(「被告電子部品」)に取り換えたうえで、トナーを詰め替えたトナーカートリッジ(被告製品)を製造販売するようになった。原告は、そのような電子部品について原告特許(複数)を取得していたため、これらの侵害を主張して、被告電子部品を含む被告の再生品であるトナーカートリッジ(被告製品)[3]の製造販売の差止め及び損害賠償を求めて、東京地方裁判所に提訴した。

 

【第1審の判示】

東京地裁は、被告電子部品が原告特許権に係る発明の技術的範囲に属することを認めたうえで、大要次のように述べて、原告の一連の行為が独禁法に違反すること、及び、差止請求についても、損害賠償請求についても、権利の濫用にあたるとして、原告の請求を棄却した。

「被告らをはじめとするリサイクル事業者が,現状において,本件書換制限措置のされた原告製プリンタについて,トナー残量表示がされるトナーカートリッジを製造,販売するには,原告電子部品を被告電子部品に取り替えるほかに手段はない」

「本件各特許権に基づき電子部品を取り替えた被告製品の販売等が差し止められることになると,被告らはトナー残量が「?」と表示される再生品を製造,販売するほかないが,そうすると,…被告らはトナーカートリッジ市場において競争上著しく不利益を受けることとなる」

「本件書換制限措置は,トナーの残量表示の正確性担保のための装置としては,その必要性の範囲を超え,合理性を欠く」

「このような原告の一連の行為は,これを全体としてみれば,トナーカートリッジのリサイクル事業者である被告らが自らトナーの残量表示をした製品をユーザー等に販売することを妨げるものであり,トナーカートリッジ市場において原告と競争関係にあるリサイクル事業者である被告らとそのユーザーの取引を不当に妨害し,公正な競争を阻害するものとして,独占禁止法(独占禁止法19条[4],2条9項6号[5],一般指定14項[6])と抵触する」

「本件書換制限措置による競争制限の程度が大きいこと,同措置を行う必要性や合理性の程度が低いこと,同措置は使用済みの製品の自由な流通や利用等を制限するものであることなどの点も併せて考慮すると,本件各特許権に基づき被告製品の販売等の差止めを求めることは,特許法の目的である「産業の発達」を阻害し又は特許制度の趣旨を逸脱するものとして,権利の濫用(民法1条3項)に当たる」

「上記…の事情に加え,原告は,本件各特許の実施品である電子部品が組み込まれたトナーカートリッジを譲渡等することにより既に対価を回収していることや,本件書換制限措置がなければ,被告らは,本件各特許を侵害することなく,トナーカートリッジの電子部品のメモリを書き換えることにより再生品を販売していたと推認されることなども考慮すると,本件においては,差止請求と同様,損害賠償請求についても権利の濫用に当たる」

 

【第2審の判示】(emphasis added)

知財高裁は、以下のように述べて、原告の権利行使が、独禁法違反になることを否定し、権利濫用の抗弁は成立しないとした。

「本件書換制限措置が講じられた原告電子部品が搭載された純正品の原告製品が装着された原告プリンタと使用済みの原告製品にトナーを再充填した再生品が装着された原告プリンタの機能を対比すると,再生品が装着された原告プリンタは,トナー残量表示に「?」と表示され,残量表示がされず,予告表示がされない点で純正品の原告製品が装着された原告プリンタと異なるが,再生品が装着された場合においても,トナー切れによる印刷停止の動作及び「トナーがなくなりました。」等のトナー切れ表示は純正品が装着された場合と異なるものではなく,印刷機能に支障をきたすものではないこと,再生品が装着された原告プリンタにおいても,トナー残量表示に「?」と表示されるとともに,「印刷できます。」との表示がされるので,再生品であるため残量表示がされないことも容易に認識し得るものであり,ユーザーが印刷機能に支障があるとの不安を抱くものとは認められないこと,ユーザーは,残量表示がされないことについて予備のトナーをあらかじめ用意しておくことで対応できるものであり,このようなユーザーの負担は大きいものとはいえないことを踏まえると,残量表示がされない再生品と純正品との上記機能上の差異及び価格差を考慮して,再生品を選択するユーザーも存在するものと認められる。また,前記認定のとおり,残量表示がされることが公的入札の条件であるとはいえない。

一方,リサイクル事業者においては,残量表示がされないことについてユーザーが不安を抱くことを懸念するのであれば,再生品であるため残量表示がされないが,印刷はできることを表示することによって対応できること,電子部品の形状を工夫することで,本件各発明1ないし3の技術的範囲に属さない電子部品を製造し,これを原告電子部品と取り替えることで,本件各特許権侵害を回避し,残量表示をさせることは,技術的に可能であり,●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●からすると,原告プリンタ用のトナーカートリッジの市場において,本件書換制限措置によるリサイクル事業者の不利益の程度は小さいものと認められる。

次に,控訴人は,本件書換制限措置を行った理由について,原告電子部品に本件書換制限措置が講じられていない場合には,原告プリンタに自ら品質等をコントロールできない第三者の再生品のトナーの残量が表示され,残量表示の正確性を自らコントロールできないので,このような弊害を排除したいと考えて本件書換制限措置を講じたものである旨を主張し,経営戦略として,原告製プリンタに対応するトナーカートリッジのうち,ハイエンドのプリンタであるC830及びC840シリーズに対応する原告製品に搭載された原告電子部品を選択した旨を述べていること(甲75,76),その理由には,相応の合理性が認められること,上記のとおり,本件各特許権侵害を回避した電子部品の製造が技術的に可能であることを併せ考慮すると,控訴人が本件書換制限措置がされた原告電子部品を取り替えて使用済みの原告製品に搭載した被告電子部品について本件各特許権を行使することは,原告製品のリサイクル品をもっぱら市場から排除する目的によるものと認めることはできない。

上記のとおり,本件書換制限措置によりリサイクル事業者が受ける競争制限効果の程度は小さいこと,控訴人が本件書換制限措置を講じたことには相応の合理性があり,控訴人による被告電子部品に対する本件各特許権の行使がもっぱら原告製品のリサイクル品を市場から排除する目的によるものとは認められないことからすると,控訴人が本件書換制限措置という合理性及び必要性のない行為により,被控訴人らが原告製品に搭載された原告電子部品を取り外し,被告電子部品に取り替えることを余儀なくさせ,上記消尽の成立を妨げたものと認めることはできない。

以上の認定事実及びその他本件に現れた諸事情を総合考慮すれば,控訴人が,被控訴人らに対し,被告電子部品について本件各特許権に基づく差止請求権及び損害賠償請求権を行使することは,競争者に対する取引妨害として,独占禁止法(独占禁止法19条,2条9項6号,一般指定14項)に抵触するものということはできないし,また,特許法の目的である「産業の発達」を阻害し又は特許制度の趣旨を逸脱するものであるということはできないから,権利の濫用に当たるものと認めることはできない。」

 

【コメント】

1 独禁法違反と権利の濫用

民法1条3項の権利の濫用は、何らかの権利に基づく請求権が成立する場合であっても、権利の行使を否定する根拠としてしばしば用いられる。そのような実務が定着した結果、各法律の条文で、権利の行使が否定されるための要件が明確に規定されるに至ることもある。例えば、使用者による労働契約の解除を制限する法理として、民法1条3項を根拠として、長年にわたり、解雇権濫用法理が用いられた[7]。また、無効理由を有する特許権の行使を否定する際にも、民法1条3項が用いられた[8][9]。いずれもその後、それらの法理は、条文で明文化された(労働契約法16条、特許法104条の3)。特許権の行使が独禁法違反の場合になるような場合に、その行使の可否について直接触れた法律の条文はないところ、独禁法違反と認められるような権利の行使は、権利を不当に用いるものであって、これを否定すべき場合が当然考えられる。そのような場合は、民法1条3項に基づき、権利濫用の抗弁により、特許権の行使を否定するという判断枠組みは、非常に無理の少ない考え方である[10]。今まで、この判断枠組みで、特許権の行使を否定した裁判例は存在しなかったが、知財高裁も、この枠組み自体は否定していない。

なお、権利の濫用は、あらゆる権利について考え得るものであり、独禁法違反が成立しなければ成立しないということはない。独禁法違反を主張しなくても、権利の行使を認めるべきでない十分な理由があれば、権利の濫用は成立し得る。他方、独禁法と民法では観点がまったく同じというわけでもないから、独禁法違反が成立したとしても、権利濫用の成立については別途検討する必要があり、本件の1審判決も、2段階で考察して、権利濫用を認めている。このように考えると、権利の濫用の主張をすれば足り、独禁法違反の主張をする必要は必ずしもないことになる。しかし、権利の濫用は一般条項であり、どのような事実があれば権利濫用が認められることになるかは、必ずしも明確ではないところ、独禁法違反となる権利行使は通常認めるべきではないから、独禁法違反を基礎づける事実を主張することは、権利濫用の主張としても、非常に有益である。したがって、独禁法違反の主張は、権利濫用の主張をするうえでも、有益な場合が多いであろう。

 

2 独禁法違反の成否について

(1)日本の独禁法と不当な取引妨害について

日本では、独禁法違反の行為は、大きく分けると(a)私的独占、(b)不当な取引制限、(c)不公正な取引方法に分けられ、それぞれ独禁法2条で定義がされている。(a)私的独占と(b)不当な取引制限は、一定の行為類型に加えて、「公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限すること」が要求される。本件でも問題となった(c)不公正な取引方法は、そこまでの競争制限効果は要求されず、実際にも問題になりやすい類型であるといえよう。

不公正な取引方法は、独禁法2条9項の1号から5号までにある程度具体的に規定されているほか、6号で、イからヘまでの6つの行為であって、公正な競争を阻害するおそれがあるもののうち、公正取引委員会が指定するものが含まれる。今回主として問題になったのは、6号ヘのうち、「一般指定[11]14項」として、公正取引委員会が指定した「競争者に対する取引妨害」(「自己…と国内において競争関係にある他の事業者とその取引の相手方との取引について、…その取引を不当に妨害すること。)である。その要件は、端的にいえば、「競争者」の「取引」を「不当」に「妨害」することであり、本件の事案では、被告らと潜在的な買主との取引を、原告が「不当」に「妨害」したかどうかの問題になる。
 
(2)本件における不当な取引妨害の成否

 (i) 「異なる表示」がされる再生品を製造販売すると、被告らは、市場で競争上著しい不利益を受けるので、被告らが原告と競争をするためには、「異なる表示」がされないようにするしかない

      ↓

 (ii) 「異なる表示」がされないようにする方法として、原告電子部品のデータを書き換える方法があるが、原告による本件書換制限措置のために、この方法はとれない。

      ↓

 (iii) そうすると、「異なる表示」がされないようにするためには、原告電子部品を取り換えるしかない。

      ↓

 (iv) 原告のプリンタに使える電子部品にするためには、必然的に本件特許権を侵害せざるを得ない。

      ↓

 (v) なお、本件書換制限措置は、トナーの残量表示の正確性担保という必要性の範囲を超え,合理性を欠く。

 

1審判決は、叙述の順序は異なるが、ほぼ上記のとおり、判示して、独禁法違反の判断をしたものといってよいであろう。(i)から(iv)は、主として取引の「妨害」に当たるものであり、(v)は、「不当に」ということ(公正競争阻害性)の根拠となっている事実であろう。

2審判決は、(i)について、再生品が使われた場合でも、(「異なる表示」はされるものの)(A)印刷停止の動作及びトナー切れ表示がされ、印刷機能に支障はないこと、(B)「異なる表示」に加え、「印刷できます」という表示がされ、再生品ゆえに残量表示がされないことが認識でき、ユーザが印刷機能について不安をもつものではないこと、(C)残量表示がされないことについて予備のトナーを用意しておけば足り、このユーザの負担は大きくないことを指摘した。また、残量表示がないことについてのユーザの不安は、再生品ゆえ残量表示はされないが、印刷はできることを表示することで対応できることを指摘し、リサイクルの事業者の不利益の程度は小さいことを指摘した。

また、(iv)についても、電子部品の形状を工夫することで,本件特許発明の技術的範囲に属さない電子部品を製造し,これを原告電子部品と取り替えることで,本件各特許権侵害を回避し,残量表示をさせることは,技術的に可能であるとした[12]。

さらに、(v)についても、本件書換制限措置を行った理由(そうしないと、原告プリンタに自ら品質等をコントロールできない第三者の再生品のトナーの残量が表示され,残量表示の正確性を自らコントロールできない)及び経営戦略(ハイエンドのプリンタに対応する原告製品に搭載された原告電子部品を選択した)についての原告の説明は、「相応の合理性」が認められるとした。

特許権の行使が競争妨害の独禁法違反に当たるかどうかについては、特許発明の技術的範囲に入らない電子部品でないものを使用し得るかどうか((iv))という点が、かなりの重点を占めており、2審判決が認定するように、この点が肯定されるのであれば、独禁法違反とならない方向に傾くであろう。この場合、電子部品を交換せざるを得ないことで、再生業者の側のコストが増大するので、増大の程度によっては、独禁法違反となるという立論もありうるかもしれないが、(i)及び(v)に関する本判決の判示からすれば、不当な取引妨害とはいえないことになろう。
 
(3)今後への影響

本件は、原告の特許製品の再生品に係る件であり、通常の特許権侵害に係る紛争において、《特許権侵害の行為をしないと市場への参加が阻まれる》というケースは、必ずしも多くないかもしれない。しかし、特許権の行使が不当な取引妨害に該当するということになれば、特許権の行使が否定され得るということは、本件で明らかにされた点である。本件では、不当な取引妨害について判断されたに過ぎないが、その他の独禁法違反行為でも、権利の濫用を基礎づけ得ることは同様であろう。今後は、不当な取引妨害以外の行為類型も含め、独禁法違反の抗弁が成立するような事情がないかが、被疑侵害者側の関心事となろう。他方、特許権者側としては、競争上優位にたつための方策を考えるにあたり、独禁法違反ということで、特許権の行使まで否定されてしまう可能性があることを考えたうえで、事業戦略を立てるべきであるということになろう。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

[1] 平成29年(ワ)第40337号

[2] 日本国特許第4886084号、5780375号,5780376号。参考までに、日本国特許第4886084号の請求項1を示すと次のとおりである。「「画像形成装置本体に対して着脱可能に構成された着脱可能装置に設置される情報記憶装置であって,前記画像形成装置本体と前記着脱可能装置との間で通信される情報が記憶される情報記憶部と,前記画像形成装置本体に設置された本体側端子に接触して,前記画像形成装置本体との間で前記情報を通信するための端子と,前記情報記憶部と前記端子とが保持されるとともに,前記画像形成装置本体に設置された突起部に係合する穴部が形成された基板と,を備え,前記端子は,短手方向に隙間を空けて並設された複数の金属板であり,前記基板に形成された前記穴部は,前記画像形成装置本体の前記突起部に形成された接地用の本体

側端子に接触するアース端子が形成され,前記複数の金属板のうち2つの金属板に間に挟まれる位置に配設されたことを特徴とする情報記憶装置。」

[3] 設計変更がされているが、本稿では触れない。

[4] 「事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。」

[5]  「この法律において「不公正な取引方法」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。・・・略

ヘ 自己又は自己が株主若しくは役員である会社と国内において競争関係にある他の事業者とその取引の相手方との取引を不当に妨害し、又は当該事業者が会社である場合において、その会社の株主若しくは役員をその会社の不利益となる行為をするように、不当に誘引し、唆し、若しくは強制すること。」

[6] 「自己又は自己が株主若しくは役員である会社と国内において競争関係にある他の事業者とその取引の相手方との取引について、契約の成立の阻止、契約の不履行の誘引その他いかなる方法をもつてするかを問わず、その取引を不当に妨害すること。」

[7] 最判昭和50年4月25日民集29巻4号456頁

[8] 最判平成12年4月11日民集54巻4号1368頁

[9] もっとも、労働法の判決のほうは、関係する事情を総合考慮して権利の濫用かどうかを判断するものであるのに対し、特許法の判決のほうは、基本的に、無効理由が存在することが明らかであるかどうかのみで権利濫用かどうかを決するものであり、両者の考え方はかなり異なっている。独禁法違反の場合は、権利の濫用であることを基礎づけるのに十分である場合が多いであろうが、独禁法違反が認められる場合でも、例外的に権利の濫用が否定される途をとざすべきではないであろう。

[10] 日本の最高裁は、独禁法違反の契約についても、直ちに無効であるとはせず、民法90条の公序良俗違反に該当する場合に、無効になるとしている(最判昭和52年6月20日・民集31巻4号449頁)。

[11] 不公正な取引方法(昭和五十七年六月十八日公正取引委員会告示第十五号)

https://www.jftc.go.jp/en/legislation_gls/unfairtradepractices.html

[12] この点に関する記載については、営業秘密を含むものとして、判示が黒塗りされている。

 

吉田和彦

 
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