東京地判令和3年(ワ)18262【女性用衣料】<國分>
*広辞苑第6版には、「ともに」という用語の意味は、①「ひとつになって。いっしょに。相連れて。同じく。」と、②「同時に。」の二つが記載されている。
⇒被告(被疑侵害者)は、広辞苑に2つの意味が記載されているときは先に記載されている意味がより一般的であると主張したが、認められず、裁判所は、本件特許発明の「ともに」は②「同時に。」という意味であるとクレーム文言解釈した。
⇒充足(特許権者勝訴)
『広辞苑第6版において、広く一般に用いられる意味から記載するとの編纂方針が採用されていることを認めるに足りる証拠はない。また、…明細書において「連結部材」として具体的例示されているものは…被告…解釈とは相容れない…。』
(判旨抜粋)
被告は、構成要件Dの「ともに」について、辞書を編纂するに際し、各語句の意味は、広く一般に用いられるものから記載されるから、広辞苑第6版において最初に記載されている「ひとつになって。いっしょに。相連れて。同じく。」の意味であ…るべきと主張する。しかし、語句の意味をどのようなものから優先的に記述するかは、各辞書の編纂方針によると考えられるところ、…広辞苑第6版において、広く一般に用いられる意味から記載するとの編纂方針が採用されていることを認めるに足りる証拠はない。また、…本件明細書において「連結部材」として具体的例示されているものは、いずれも連結部材同士の連結を解除しなければ、その連結幅を調節できないものであるから、被告が主張する「ともに」との解釈とは相容れない…。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/632/092632_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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