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【特許★】原被告間の共同出願契約の下、権利維持保全義務を負う被告が、出願審査請求をしなかったことにつき義務違反が認められ、原告の債務不履行に基づく損害賠償請求の原因に理由があるとされた事例(中間判決)

2016年03月07日

平成28年2月19日(平成25年(ワ)第19912号)(東京地裁29部、嶋末裁判長)

(判決要旨)

1.債務不履行の成否について

①原告と被告は、「被告は,本件各発明の特許出願の手続,登録までの諸手続及び登録された場合の権利の維持保全に関する手続を行う。」旨の約定を含む共同出願契約を締結しており、被告は、出願審査請求の手続き等を行う債務を負っていたところ、②被告は、審査請求期間内に、本件各出願に係る出願審査請求の手続を行わず、同債務を履行しなかったものであり、③その結果、原告は、本件各発明について特許を受ける権利を失った。

被告は、弁理士に本件出願に関する手続を委任していたが、あくまで被告が、原告に対して上記出願審査請求の手続きを負う債務を負っていたものであり、同弁理士は被告の履行補助者に当たり、同弁理士の故意・過失は、原告との関係では、信義則上、被告の帰責事由と同視される。

2.特許権取得の蓋然性(損害との因果関係)について

本件出願1~4に係る発明(加圧加振試験機等)のうち、本件出願1、2に係る各発明につき、特許要件(進歩性等)を認め、本件出願1、2については、審査請求期間内に出願審査請求がなされていれば特許権の設定登録を受けることができた高度の蓋然性があった。したがって、本件出願1、2については、被告の債務不履行と損害の発生との間の因果関係が認められる。

一方、本件出願3、4に係る各発明については、いずれも進歩性を欠き、本件出願3、4については、拒絶査定がされた可能性が高かったから、特許権の設定登録を受けることができた高度の蓋然性があったとはいえない。

3.消滅時効の中断等について

原告が、本件について被告が損害賠償責任を負う旨主張して被告に対して損害賠償金を支払を認め、この点が原被告間において問題となる中、被告は、本件原告との間で覚書を締結し、これに基づき、平成20年3月17日から平成22年1月25日にかけて本件金員として合計400万円を原告に支払ったこと、これについて、被告自身が、上記損害賠償金の実質を有する和解金の支払を認められた本件調停において、本件調停に係る「支払義務」が観念される場合には上記400万円の既払金はそこから控除されるべき金員である旨述べたことに照らせば、民法147条3号にいう「承認」をしたものであり、平成22年1月25日に、同各請求権の消滅時効は中断した。

その後、平成25年7月29日の本件訴訟提起により再度時効が中断し、同年9月24日の援用時までに時効は完成していないから、損害賠償請求権が時効により消滅したということはできない。

(コメント)

本判決は、原被告間の共同出願契約において、被告に権利維持保全義務が課せられていたところ、原被告から委任を受けた弁理士(履行補助者)の過失が認められ、債務者である被告に債務不履行責任が認められた事例である。

(和解ではなく、本案判決に至るとすれば、)どのような事情の下で、(過失相殺等も含め、)どの程度の損害額が認定されるかが注目される。

なお、本件に関連して、弁理士の職務に関する事故事例としては、弁理士職業賠償責任保険の事故対応ハンドブック事例集が参考になる(URL:http://www.nb-service.co.jp/03jirei/index.html。)

(判決の抜粋)

1 争点1(債務不履行又は不法行為の成否)について

(1)…前提事実によると,①原告と被告は,平成14年11月26日,「被告は,本件各発明の特許出願の手続,登録までの諸手続及び登録された場合の権利の維持保全に関する手続を行う。」旨の約定(2条1項本文)を含む本件契約を締結したこと,②被告は,本件各出願後審査請求期間内に,本件各出願に係る出願審査請求の手続を行わなかったこと,③その結果,原告は,本件各発明について特許を受ける権利を失ったことが認められる。

上記①によれば,被告が,原告に対し,本件契約に基づき,本件各発明について出願後審査請求期間内に出願審査請求の手続を行う債務を負っていたことは明らかであり,上記②は,被告が同債務を履行しなかったことを示している。

したがって,被告は,原告に対し,上記の債務不履行による損害賠償責任を負うというほかはない。

(2) これに対し,被告は,本件各出願に係る出願審査請求がされなかったことについては,原告に直接意向確認をしないまま出願審査請求を行わない旨判断した本件特許事務所のAⅱ弁理士に責任がある旨主張し,被告にはその責任がないかのように主張する。

しかしながら,弁論の全趣旨によれば,被告は,本件特許事務所のAⅱ弁理士に対し,本件各発明の出願に関する手続を委任していたことが認められるところ,前記(1)で説示したとおり,原被告間においては,あくまで被告が原告に対して出願審査請求の手続を行う債務を負っていたのであるから,Aⅱ弁理士は,被告の原告に対する同債務に関しては,被告の履行補助者に当たるというべきである。そうすると,Aⅱ弁理士の故意・過失は,原告との関係では,信義則上,被告の帰責事由と同視されるから,被告の上記主張は採用することができない。

2 争点2(特許権取得の蓋然性)について

…本件出願1及び本件出願2については,審査請求期間内に出願審査請求がされていれば特許権の設定登録を受けられた高度の蓋然性があったということができるが,本件出願3及び本件出願4については,審査請求期間内に出願審査請求がされていたとしても特許権の設定登録を受けられた高度の蓋然性があったということはできない。

したがって,本件出願1及び本件出願2については,前記2で説示した被告の債務不履行と損害の発生との間の因果関係を肯認することができるが,本件出願3及び本件出願4については,被告の債務不履行又は不法行為と損害の発生との間の因果関係を肯認することはできない。

3 争点3(消滅時効の中断等)について

…認定した事実経過,とりわけ,原告が,本件各出願に係る出願審査請求がされなかったことについて被告が損害賠償責任を負う旨主張して被告に対し損害賠償金の支払を求め,この点が原被告間において問題となる中,被告は,本件原告との間で覚書を締結し,これに基づき,平成20年3月17日から平成22年1月25日にかけて本件金員として合計400万円を原告に支払ったこと,これについて,被告自身が,上記の損害賠償金の実質を有する和解金の支払を求められた本件調停において,本件調停に係る「支払義務」が観念される場合には上記400万円の既払金はそこから控除されるべき金員である旨述べたことに照らせば,被告は,平成22年1月25日に,前記(1)の各債務不履行に基づく損害賠償債務について,民法147条3号にいう「承認」をしたものというべきである。

そうすると,上記各損害賠償請求権の発生日から5年後の平成22年10月31日及び同年11月14日より前である平成22年1月25日に,同各請求権の消滅時効は中断したということができる。

…その後,平成25年7月29日の本件訴訟提起により再度中断し,同年9月24日の援用時までに時効は完成していないから,上記各請求権が時効により消滅したということはできない。

(Keywords)共同出願契約、出願審査請求、審査請求期間の徒過、期限徒過、債務不履行、弁理士、履行補助者の故意・過失、信義則、帰責事由、特許権取得の蓋然性、因果関係、消滅時効、時効中断、承認、中間判決

◆判決本文

文責:弁護士・弁理士 適宜変更 小林 正和(第二東京弁護士会)
本件に関するお問い合わせ先:ma_kobayashi@nakapat.gr.jp

 
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