平成30年(行ケ)第10108号<高部>
「…重金属類を含む廃棄物の処理方法」事件
主従引用例同士を組み合わせても本件発明の構成に至らない。
⇒進歩性〇
(判旨抜粋)
…引用発明と甲2技術とは,廃棄物の水熱処理という技術分野において関連性があり,廃棄物から重金属の溶出を防止するという課題が共通しているということができる。…しかしながら,仮に引用発明に甲2技術を適用しても,甲2には,前記有機系廃棄物の固形物上にトバモライト構造が層として形成されることの記載はないから,相違点2’に係る「前記重金属類が閉じ込められた5CaO・6SiO2・5H2O 結晶(トバモライト)構造」が「前記有機系廃棄物の固形物上に」「層」として「形成」されるとの構成には至らない。
…以上によれば,引用発明に甲2技術を適用することによって相違点2’に係る構成を想到するに至らないのであるから,本件審決の理由によって,本願発明は引用発明及び甲2技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
この判決の末尾の、
「本件審決の理由によって,」
という部分は、意味深ですね。
・・・
最高裁判決で話題となっている、審決取消訴訟の確定判決の拘束力の範囲という論点と無関係ではなさそうです。
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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