平成29年(ワ)17791〔マグネット歯車事件〕<佐藤>
*間隙が生じることは不可避であった⇒公然実施成立!!
※公然実施品において、技術思想として意図的に間隙を設けていた必要は無い。
「…は、…軸部の回転軸線方向の間隙が生じることは不可避であることを示す」
⇒公然実施品において意図されておらず偶々生じた構成であっても、公然実施発明として引用例適格は否定されない!!
Cf.先使用権に関する、知財高判平成29年(ネ)第10090号<高部>、津地判平成3(ワ)32は、先使用権成立には、先使用物に具現された技術的思想が本件発明と同じ内容の発明でなければならないとして、偶々先使用医薬が該発明の数値範囲に入っていたとしても先使用発明×とした。対比して考察することが、実務上必須。
(〔マグネット歯車事件〕の判旨抜粋)
…熱カシメ機の熱カシメホーンを下降させて,熱カシメ用の突起を上から潰した後,熱カシメホーンを反転上昇させると,熱カシメの突起が応力によって若干戻ることから,軸部の回転軸線方向の間隙が生じると考えられる (乙13)。原告通水実験において,できる限り間隙がないように無1~無5が製作されたにもかかわらず,前記のとおりの間隙が生じているということは,原告の熱カシメ機による熱カシメの際に軸部の回転軸線方向の間隙が生じることは不可避であることを示すものということができる。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/213/088213_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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