平成29年(ネ)10043【デジタル格納部を備えた電子番組ガイド】<森>
⇒間接侵害×
*「不可欠」要件否定
「従来技術に見られない特徴的技術手段は,双方向テレビ番組ガイドシステムがデジタル格納デバイスを…内蔵することにある…。…被告物件は…内蔵するものではない…。」
(判旨抜粋)
本件発明は,独立型のアナログ格納デバイスでは不可能であった高度な機能をユーザに提供するために,双方向テレビ番組ガイドシステムがデジタル格納デバイスを備えることを目的としたものであり,従来技術に見られない特徴的技術手段は,双方向テレビ番組ガイドシステムがデジタル格納デバイスを備えること,すなわち,これを内蔵することにあるというべきである。そうすると,被告物件は,デジタル格納デバイスを内蔵するものではないから,本件発明による「課題の解決に不可欠なもの」であるとはいえない。
*「生産に用いる物」要件否定
「…外付けのUSBハードディス…を被告物件に接続することによって初めて…録画することが可能であるから,デジタル格納部を被告物件に内蔵させる余地はない。…」
(判旨抜粋)
被告物件である液晶テレビ製品は,単に放送を受信するだけで,いずれもそれ自体に録画できるメモリー部分(デジタル格納部)を備えておらず,録画先としては,外付けのUSBハードディスクやレグザリンク対応の東芝レコーダーとされており,これらを被告物件に接続することによって初めて,被告物件で受信した番組を上記ハードディスク等に録画することが可能であるから,デジタル格納部を被告物件に内蔵させる余地はない。そうすると,被告物件は,デジタル格納デバイスを含むユーザテレビ機器を備えた双方向テレビガイドシステムの「生産に用いる物」ということができない。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/430/087430_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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