平成27年(行ケ)10205【車両用ルーフアンテナ】<設樂>
*方向は設計事項
「魚鰭状カバー21の魚鰭の突出する内部空間に設置されているアンテナ22を…どのような方向で設置するかは,自動車用ラジオの電波の受信感度や内部空間の広さ等に応じて適宜決定し得る設計的な事項である」
*引用例中の図面と、明細書の記載を併せて構成(位置関係)を読み取れた事例
(判旨抜粋)
…当業者であれば…コイルピッチ,コイル径,巻数などを調整することによって,その全体の長さを短く設計することができるから,AMアンテナ22を,その軸方向を信号増幅回路板23と垂直方向にして設置したとしても,魚鰭状カバー21内に設置できない,あるいは信号増幅回路板23と干渉するなどの問題を回避するように構成することは可能である…。そして,魚鰭状カバー21の魚鰭の突出する内部空間に設置されているAMアンテナ22を,上部に沿って設置するか(甲1発明。【図2】),その軸方向を信号増幅回路板23と垂直方向にして設置するか(本件発明1。甲12【図2】)など,どのような方向で設置するかは,自動車用ラジオの電波の受信感度や内部空間の広さ等に応じて適宜決定し得る設計的な事項である…。また,保持筒でコイルアンテナを保持することは周知技術であるから,甲1発明において,「AMアンテナ」を,その軸方向を信号増幅回路板と垂直方向にして設置する際に,魚鰭状カバーの上面から突設された保持筒で保持するように構成することに格別の困難性はなく,相違点3に係る本件発明1の構成は,当業者であれば容易に想到し得るものであると認められる。
甲1文献の【図1】には,甲1発明にかかる実施例の外観立体図が記載されているところ,当該図面によれば,「魚鰭状カバー21」の下部には,その周囲を取り囲むように「金属ベース25」が実線で記載され,ある程度の厚みをもって図示されているから,「金属ベース25」は,「魚鰭状カバー21」の底面開口の周縁部の下に配置されていることが理解できる。そして,甲1文献の【発明を実施するための最良の形態】に,「魚鰭式アンテナ装置20の底部に金属ベース25が取り付けられ」ること(【0013】),魚鰭式アンテナ装置20が,「金属ベース25」の上方に位置する「魚鰭状カバー21」と組み合わせて構成されていること(【0009】,【図2】)が記載されていることからも,「金属ベース25」は,「魚鰭状カバー21」の底部である底面開口の周縁部の下に配置されていると理解するのが自然である。
https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/864/085864_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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