平成26年(行ケ)10186号【エラストマー糸を含有する弾性生地の丸編】<清水>
本願発明における延伸率である2.5倍という上限値は、本願出願時において特別に高い値ではない。
*引用発明が同じパラメータ(延伸率)で近い数字(2.7倍)
⇒引用発明は限界値でない。
~設計事項
(判旨抜粋)
本願発明における延伸率である2.5倍という上限値は,一般的な糸の使用を前提とすれば,その糸の太さにかかわらず,本願出願時において特別に高い値ではない(乙5)。現に,引用文献…の実施例1で,本願発明に入るデシテックス数の44デシテックスで,商業上許容される範囲の収縮率を実現する上で,延伸率として2.7倍を選択していることからすれば,2.7倍よりも小さい2.5倍以下という延伸率を設定することに,技術的困難性はない。そうすると,引用発明において想定されている収縮率は,本願出願時の技術水準上,限界値であったわけではないから,引用発明のデシテックスを大きくするのと同時に,延伸率を大きくすること自体に阻害要因はないし,その場合における「2.5倍以下」という数値設定も,当業者が容易になし得る程度の設計事項といえる。
https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/181/085181_hanrei.pdf
※本稿の内容は,一般的な情報を提供するものであり,法律上の助言を含みません。
執筆:弁護士・弁理士 高石秀樹(第二東京弁護士会)
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